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私は君の隣にいる夢を見る3


「夢現薬を作るためには四つの材料が必要になるわ。一つ目は夢現草、二つ目は月花、三つ目は祈り草で、最後に清水の四つよ。

どれも入手するためには魔女の力が必要だから、自分で作ろうだなんて思わないことね。精霊の怒りに触れるから、命はないと思いなさい。

作り方はまず、夢現草をすり潰すの。夢現薬と呼ばれるくらいだから、夢現草は葉を四枚すり潰して、乾燥させるの。裏表ちゃんと丁寧に干ぼししないと何故かダメなのよね、理由はわからないけど。

夢現草を乾燥させたあと、月花を液体状にするの。月花は不思議な花でね、普通の水に溶けるのよ。で、液体状にした月花を清水で半日煮込む。

完成の一時間前に祈り草を加え、煮込み終わった後、常温で三日間寝かせて完成よ。仕上げの段階とは完成の一時間に祈り草を加える作業のことでね、あなたに協力を願いたいの。

今までの夢現薬を頼んできた人は厨房に入ることを嫌がったから、完成しているけど効力的には未完成のまま渡していたのよ。私はね、厨房に自分の意志で来た人の想いしか込めたくないの、だからあえて厨房に来るか?と言う質問の意図を言わないで聞くの」


精霊の怒りに触れるから、自分で作るなと言う割には詳細に作り方を教えてくれるから、矛盾しているなとは思いましたが、薬の作り方をすべて説明してもなお、彼女は私達人間に夢現薬を作られない自信があるのでしょう。


それに、と彼女は淡々とした口調で切り出したから、その声がする方向へと視線を向ければ、


「私は魔女の薬のレシピを流失するような人に薬を作ったりはしないわ」


彼女は私が魔女の薬のレシピを流失するような人間ではないと、私以上に信じてくれているようでした。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



私はだいふくくんと共に、三日間魔女の国を観光しました。遺跡の国とは違って自然に満ち溢れた国なんだと再確認したような気がします。

遺跡の国の隣国は魔法の国です。

魔法の国から流れてくる魔力の影響で、私が子供の頃に見えていたあの満点の青空はもう、今は見えなくなってしまいました。

見えていた頃は当たり前に感じていたことが、見えなくなった時、とても貴重なことだったんだと気づいたのが遅かったと後悔するのです。


……私達人間がそうしたのに、ね?


私も人間です。

私も後悔するのでしょう。

……あの時、彼を諦めなかったらよかったと、そしたら私は幸せに生きることが出来たのにと目先の自分の幸せしか祈れない私はそう後悔してしまうかもしれません。


「それが人間にょん」


だいふくくんのその一言で私は、今まで感じていた違和感がやっと、することが出来たような気がします。

確かに星の魔女はきっと、夢見で見たから私の内心が読めるのでしょう。

ですがだいふくくんは、違います。

私は悪い魔女に捕まる覚悟で、このことをだいふくくんに伝えなければいけないと、そう直感で感じたから……、


「だいふくくん、あなたは私に嘘をつきましたね? あなたは私の心を読むことが出来ないと嘘をついた、それは星の魔女に命令されたことですか?」



私は星の魔女の店の前でそう告げた。

言われた方のだいふくくんは戸惑ったような表情を浮かべて、


「……今回は不思議なことばかり起こるにょん、動揺して話さなくていいことも話しそうになるにょ……」


と、質問とは全く違う言葉を口に出していて、私は正直に答えて欲しいとそう告げようとした。その時、だいふくくんは見たことがないくらい怖い顔をして、


「それは君が知るべきことではないにょん、この質問には答えられないにょ」


と、そう言われ、それはどうしてと聞こうとした瞬間、星の魔女はその話を遮りたかったかのように、タイミングよくドアを開いて、一つの紙袋を私に渡してきたのです。





「この夢を見て、どうするかはあなた次第よ。選んで後悔するような選択だけはしないでちょうだいね?」






そう言って、だいふくくんを抱えて店に星の魔女は戻っていってしまい、私は店の前にポツンと一人、取り残されてしまいました。









私はその日、夢を見ました。私が望んでいたまんまの夢を。


だけどね、諦められませんでした。


確かに、私が望んだように私は彼がいつも座っている席の隣に座っていて、何かの本を読んでいる夢でした。望み通りだったんですよ?

彼はその席にいつものように何事もないかのように定位置に座ってくれました。それで十分だったのに……‼︎

夢にいる私は、幸せそうに嬉しそうにそのことを喜んでいるように微笑んだんです。……そんな表情されたら、羨ましいと思ってしまうじゃないですか……!


そんな表情を浮かべている時、ふと何かを思い立ったかのように彼は資料から視線を逸らし、私に向けてきて……、


「いつもの司書だろう?

……君の名を教えて欲しい」


夢でもそう言われたら、諦められる訳ないじゃないですか……!



……簡単に諦められないこの気持ちは、恋に恋していた訳ではなく……、きっと……、私はちゃんと彼に恋をしていたんですね……。

だからこんなにも、この恋を諦めることに後ろ髪を引かれるんだと思います。



後悔するような選択だけはしないでと、そう言われたからにはもう、私にはこの恋を諦めるという選択肢は残っていません。



星の魔女がくれた夢を見て、自覚させられたこの恋を後悔の思い出だらけにしないために、今日から…………、



「おはようございます、今日も頑張ってらっしゃいますね?」



そう笑顔で毎日、彼に一言声をかけていくことから始めてみようと思います。











第1章、前半の話終わりです。

読んでいただきありがとうございます。

第1章の後半の話もありますので、そちらも読んでいただければ嬉しいです。

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