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なくした未来と、今までの幸福と。

作者: 奏

春には恋をしよう。

桜さく丘の上で遠くを見つめている君に見とれるんだ。

夏には花火を見よう。

何でも話せる友達とバカなことで笑いあってはしゃぐんだ。

恋した君に告白できたなら、手を繋いで静かに見るのもきっといい。

秋には美味しいものをたくさん食べよう。

焼き芋や栗やきのこだって、きっとなんだって美味しいから、家族でひとつのテーブルをかこんで食べるんだ。

もちろん、君とのデートではちょっぴりかっこつけてオシャレなレストランなんかいっちゃって、君をとびきり笑顔にするのさ。

冬には・・・・そうだな、こたつでゆっくりあたたまろう。

そのときにはみかんは必須のアイテムだね。雪がいっぱい積もったならそとに出て遊ぼう。巨大な雪だるまをつくったり、本気で雪合戦したり、寒さがぶっ飛ぶくらいに遊ぼう。


それは病室で見たささいな夢。けれどどうしても叶えたかった大きな夢。

4月15日。俺の15回目の誕生日の日の朝。俺の病室で、心拍数0のサイレンが鳴り響いた。

小学校も中学校もろくに行けてない。友達も作れてないし初恋もまだだ。美味しいものをお腹いっぱい食べたこともない。旅行だってしたことない。夏祭りも雪遊びもどんなものか知らない。

いつか絶対親孝行するって決めてたのに、まだ一回もしていない。ありがとうって言葉さえ、言えてない。

まだ14年しか生きていない。

ちくしょう、悔しい。まだやりたいことがいっぱいあるのに、時間はもうほんのわずかもない。

けど、家族から愛情はいっぱいもらった。こっぱずかしいけど、愛されてたって自信をもって言える。看護師さんから、内緒でチョコレートをもらったこともある。初めてたべたチョコは甘くて顔がほころんだっけ。病院で知り合ったいろんな人たちが俺の病室で誕生日を祝ってくれたこともあった。めいっぱい飾りつけをして、小さいけどすごく美味しいケーキを食べて、結局そのあと高熱を出したんだけど、そんなことどうでもよくなるくらいに嬉しかったっけな。

だから、俺は幸せだった。叶わないことが多くても、やりたいことができなくても、それに勝る幸せをもらったから。

・・ってゆうことを皆に直接言えたら一番良かったんだけど、結局無理だったから。だからこれが、皆にできる一番の伝え方だと思ったから。

伝わるかな・・?

伝わるといいな。



4月15日。私達の最愛の家族が、15才の誕生日に亡くなった。


あぁ。伝わった。ちゃんと伝わったよ。


その表情は、世界中の誰にだって負けないくらい、幸せそうだった。


お読みいただきありがとうございました。

こんな訳のわからない駄文を最後まで・・感激です!

少し重い話になってしまいました・・

気分を害されたなら申し訳ありません(-o-;)

また奏の文を見つけて、暇潰しに読んでやってもいいかな と思ってくださる寛大なお心を持っていらっしゃるかたは、ぜひお願い致します。

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