表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
My Little Rainbow  作者: kanoon
20/32

車窓

揺れる、揺れる。

私の目は何を映すの?ガラス越しに見える青空が眩しい。

緑が広がる。記憶とダブる。

いつとか、どこでとか、覚えてるわけじゃなくて。同じわけでもなくて。

だけど既視感。

待ち望んだ景色に、胸が踊る。

逃げ出した私を待っていてくれる世界。

狭いのに自由なこの中で、忘れていった数々のものを取り戻せるかな。

揺れる、揺れる。

目まぐるしく変わる景色が、徐々に安定してくる。

乗り物酔いしそうな早さで過ぎていった景色はもう私の前には現れない。

携帯のバイブレーションが響く。

ごめんね、私疲れちゃった。

返信もせず、会話ツールを閉じる。

すぐに貴方の声を聞きたくなるだろう。貴方に会いたくなるだろう。

でも暫くは、何も考えずに。

ゆったりとした時間の流れに身を任せて。

揺れて、止まる。

席から立ち上がる。

少しの荷物を持って、1回だけ外を見て出口に向かう。

溝を飛び越え、別世界に来たようだ。

空気を大きく吸う。

青々とした、爽やかな匂い。

キャスターを転がして、目的地に。

後ろを振り向けば、現実行きの電車。

改札を出れば、車窓から見えた桃源郷。


ただ逃げたいだけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ