表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
My Little Rainbow  作者: kanoon
18/32

その手に押し付けたのは、小さな鍵。

それはただ唯一の用途のためのもので、どの鍵穴にも当てはまらない。

それは閉じるためのものであって、開けるものではなかったから。

そんな私の大切なものを君に託した。

君の細い指は鍵を結ぶ革紐に絡む。

「あげる」

私が微笑むと、君は少し困ったように笑顔を見せる。

「これは?」

「私の宝物」

透かすように掲げ眺める。少しお洒落なアンティークのそれ。鍵の先は複雑で、よく見なくても普通のとは違うと分かるもの。

「これを俺に?」

うん。そう頷けば、優しい君は受け取ってくれた。

迷惑なのは分かってる。でもこれはどうしても君に持っていてほしくて。大事にしてね、なんて作ったような笑いを浮かべて言った。

「ありがとう」

私の意図に気付かないまま、君は応えた。


どうか君がこの鍵の正体に気付きませんように。でもこの鍵で傷付きますように。

君はなんてことないかもしれないけど、私にとっては身体の一部。

存在を忘れてもいいけど、持っていて欲しいの。

だってその鍵は、私の君への恋心をしまった鍵だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ