嫌いな理由
ぼーっと部屋を見る。
好きなとこ、嫌いなとこ上げて。
優しく笑うところが好き。
少し不細工なところが嫌い。
でもかっこよくて好き。
子供っぽいところが嫌い。
でも思ってるより大人な目線で好き。
五分五分の好き嫌い。
寂しいのに傍に居てくれないのが嫌い。
たった一言言ってくれるから好き。
苦しい夜も好きと嫌いを並べて乗り越える。
好きなところも嫌いなところも、同じくらいあって、同じくらいない。
どうして好きなのかなって考えて、纏まらないくらいに分からないのに。
ただ好きで。
携帯見つめながら、冷たい炭酸が喉を刺激して痛くなる。胸の痛みを隠す。
返事の来ないメールアプリを、溜め息ついて消す。
ホールド状態にして、傍らに置く。
またぐるぐる考える、好き、嫌い。
暗い部屋で一人何をしているんだろうって思うけど、至って真面目で。
音楽プレイヤーに手を伸ばす。片想いの曲に溢れたそれは、私の心の代弁者たち。
これを全て聴かせたら、私の気持ち分かってくれるかな。なんて重すぎて出来ないけど、その曲と全く同じ心境なんだ。
バイブレーション、メールアプリを起動する。
たった一言で、今日は眠れそうだななんて現金な私で。
「おやすみ」
嫌いにさせてくれないから、大嫌い。
私が彼を嫌いな理由。




