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剥がれ落ちる仮面



少女の叫びは、広場にいた誰もが聞き逃せなかった。

「ヒーローなのは、この人の方だよ!」


一瞬、空気が凍りつく。

人々の視線が黄金のヒーローに集中する。

そこに初めて――疑念の色が混じった。


「え……でも……」

「怪物じゃない……のか?」


群衆のざわめきが広がり、熱狂は迷いに変わっていく。


「……チッ」


小さく舌打ちが漏れた。

マイクを通したはずの音声ではなく、素の声。

それは近くにいた者だけが聞き取った、不快な響きだった。


ヒーローはすぐに笑顔を作り直し、両手を広げる。


「皆さん、惑わされてはいけません!

怪物は言葉巧みに心を操ります!

少女を騙し、同情を引き、そして……皆さんをも裏切るのです!」


だが、その声はどこか焦りを含んでいた。

完璧な演説のはずなのに、響きは少しずつ濁り始めている。


群衆の中から、不安げな声が漏れた。

「さっき……あの怪物、子供を助けてたよな……?」

「本当に……悪なのか……?」


黄金の仮面の下で、彼の目が一瞬だけ冷たく光る。

笑顔のまま、少女を見下ろし、低く呟いた。


「……君が邪魔をするなら、仕方がないね。」


その瞬間――

誰もが“ヒーロー”に期待していた姿とはまるで違う、獣じみた気配が溢れ出した。


黒き男は、少女を背にかばう。

瞳に宿る光は、もはや迷いのない“正義”そのものだった。



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