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偽りの光
「安心してください! 私が来ました!」
群衆の前に飛び降りたのは、鮮やかな装甲を纏った“ヒーロー”。
黄金色に輝くマントが風に揺れ、まるで救世主のように見える。
歓声が一斉に沸き起こり、人々は涙すら浮かべてその姿を見上げた。
「やっぱりヒーローだ!」
「これで安心だ!」
先ほどまで「怪物」と罵られていた黒き男とは、あまりにも対照的だった。
群衆の視線はすべて偽りのヒーローに注がれ、黒き影は排除すべき異物として片隅に追いやられる。
ヒーローは高らかに宣言する。
「街を脅かす醜悪な怪物――その存在こそ悪だ!
皆さんの前で、私が必ず討ち果たします!」
人々は拍手と歓声で応えた。
その裏で、黒き男はただ静かに立ち尽くす。
(……違う。真実は逆だ。だが――誰も聞こうとはしない)
彼の澄んだ瞳に、一瞬だけ哀しみが揺らめいた。
それでも彼は決して反論しなかった。
正義を名乗るその男の背後に、どす黒い影がうごめいていることを、まだ誰も知らない。




