人類統合計画
崩れた都市の中心にそびえる研究塔。
その頂上から放たれる眩い光が、夜空を切り裂いていた。
黒き男は、ゆっくりと歩を進める。
背後には倒れた偽りのヒーローの姿。
胸の奥で、五つの魂が静かに共鳴する。
――速さ、力、武の心、激情、そして優しさ。
そのすべてが、今ひとつの“意志”に融合していた。
塔の最上階。
そこに立つのは、白衣をまとった男――Dr.ヴァレン。
彼の背後では、巨大な球体装置が光を放ち、空中に無数のホログラムが浮かんでいる。
> 「ようやく来たか。私の最高傑作よ。」
黒き男の瞳が鋭く光る。
「お前の実験はここで終わりだ、ヴァレン。」
ヴァレンは静かに笑う。
「終わり? いや、始まりだ。
この装置は、全人類の“精神波”を融合し、一つの意識へと昇華させる。
争いも、悲しみも、もう誰も傷つかない世界だ。」
黒き男は拳を握り締めた。
「それは、命を奪って作る“静寂”だ!」
ヴァレンの目が狂気に染まる。
「違う! 私は神を超える――“真なる正義”を創るのだ!」
装置が共鳴を始め、地上の人々が次々と意識を失っていく。
街の明かりが一つ、また一つと消えていく。
黒き男の胸の中で、仲間たちの声が響いた。
〈止めろ、あいつを!〉
〈お前ならできる!〉
〈この世界に、希望を残せ!〉
炎のようなオーラが黒き男の体を包み込む。
「俺は……“融合された兵器”なんかじゃない!
俺は――人間として戦う!」
光が爆発し、塔全体が震える。
赤と白、二つの光がぶつかり合い、空を裂いた。
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その瞬間――
ヴァレンの瞳が驚愕に見開かれる。
「馬鹿な……融合エネルギーが逆流しているだと!?」
黒き男は叫ぶ。
「お前が奪った“魂”は、奪われたままでは終わらない!」
五つの光が彼の背から放たれ、塔の装置を包み込む。
装置が崩壊し、光が天へと昇る。
ヴァレンは膝をつき、呆然と呟いた。
「これが……お前たちの……“正義”か……」
黒き男は答えない。
ただ、静かに目を閉じた。
「違う……これは“人間の願い”だ。」
爆発とともに、塔は崩壊した――。




