五魂の共鳴
広場を揺らす轟音。
偽りのヒーローが放つ光の奔流を、黒き男――紅鎧のヒーローは両腕で受け止めていた。
だが、その姿に苦悶の色はない。むしろ、穏やかに目を閉じていた。
――その胸の奥に、声が響いた。
『お前は優しい。それが俺たちを支える力になる』
それは、彼自身が持っていた“優しさ”の魂。
『速さなら任せろ。敵の攻撃を読んでやる』
『パワーは俺だ。拳一つで地を砕いてみせる』
『技は俺が導く。武の極意で隙を逃さぬ』
『激しさは俺の役目だ。怒涛の嵐となりて敵を圧倒する!』
次々と重なる四人の声。
彼の中に融合された五つの命が、今、共鳴していた。
その瞬間、紅鎧は赤く脈打ち、炎のように燃え上がる。
速度が増し、一歩の踏み込みで残像を残す。
拳が振るわれれば大地が震え、瓦礫が飛び散る。
足さばきは流麗で、武の極意を宿した無駄のない動き。
そして、全身を燃やす激しさが、敵を飲み込む嵐と化す。
「ぐっ……! なんだ、この力はッ!」
偽りのヒーローの攻撃がことごとく弾かれ、押し返されていく。
紅鎧は低く呟いた。
「俺は一人じゃない……五人の力が、今ここにある!」
次の瞬間、怒涛の連撃が始まった。
閃光を切り裂く速撃、地を砕く重撃、的確な打撃、そして嵐のような連打。
五つの魂が調和し、ひとつの“最強のヒーロー”を形作る。
群衆は目を見開き、息を呑んだ。
誰もが気づいていた。
――この戦いを終わらせられるのは、この黒き男しかいない。
「偽りのヒーロー……お前の時代は終わりだ!」
紅鎧の叫びが、夜空に響き渡った。




