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覚醒の紅鎧



 閃光と閃光がぶつかり合い、広場が白く染まる。

 その中心に立つ黒き男の身体が、眩い光に包まれていった。


 「な、何だ……?」

 偽りのヒーローが目を細め、焦りの色を滲ませる。


 継ぎはぎだらけだった肉体が、光の粒子に溶けていく。

 縫い合わされたはずの皮膚は、ひとつに融合し、醜悪だった傷跡は消え去った。

 軋む骨格は新たに組み直され、筋肉はしなやかに引き締まってゆく。


 光が収まったとき、そこに立っていたのは――もはや怪物ではなかった。


 黒いボディが力強く輝き、その上から赤く燃えるような鎧が重なる。

 炎の意志を宿すかのように、鎧は脈打ち、鋭い光を放っていた。

 その姿は、誰もが憧れる“真のヒーロー”そのものだった。


 「馬鹿な……お前のような実験体が、そんな姿に……!」

 偽りのヒーローが声を震わせる。


 だが、黒き男は静かに言い放った。

 「俺は……ただの実験体じゃない。誰かの笑顔を守れるなら、それが俺の存在理由だ」


 その声は低くも力強く、群衆の胸に響いた。

 少女は涙を浮かべながら叫ぶ。

 「かっこいい……おじちゃんが、本当のヒーローだ!」


 広場に再びざわめきが走る。今度は恐怖ではなく、希望の声だった。


 偽りのヒーローの顔が歪む。

 「ふざけるなァ! ヒーローは俺だ! お前みたいな化け物に……!」


 怒号と共に、奴の掌に再び光が集まる。

 黒き男――いや、紅鎧のヒーローは構えを取り、赤き炎のような輝きを纏って前に進み出た。


 「さあ来い。お前の偽りを、俺が打ち砕く!」


 次の瞬間、広場に轟音が響き渡り、二つの光が激突した――!






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