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20DAYS  作者: 松笠醤油
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第弐話 壱日目 


目が覚めると、俺は森の中にいた。おそらく眠っている間に運ばれたのだろう。よく見ると森の木々にスピーカーが付いている。多分運営のアナウンス用だな。というか、いきなり森の中って・・・もうゲームは始まってる、そういうことだな。

そう思ったその時、昨日と同じ”キーン”というハウリング音のあとに、昨日と同じ声が聞こえた。

「皆様、おはようございます。あと、新年あけましておめでとうございます!あ、皆さんにとってはめでたくないですけどね。それでは、正式に”20DAYS”を始めさせていただきます!さて、先日説明させていただいた”ギフト”と”武器”について説明させていただきます。自分のギフトが何かということは昨日自分のベッドを探すときに使った、あの腕輪を使って確認してください。腕輪の内側に取扱説明書が挟んであるので、それに従って使ってください。腕輪を使えば地図を見たり、LINE的なやつとかもできます。あ、もしも腕輪を破壊した場合は腕輪から信号が行き、爆死していただきます。」

たしかに昨日、腕輪の内側になにかあるとは感づいていたが最悪爆発しかねないため触らないようにしていた。あらかじめ読んでおくべきだったな。アナウンスをしてる間に読んでおこう。

「さて、次に武器の説明に参ります。貴方がたが眠っていた場所の近くに、腕輪と同じ番号が書かれた赤色の箱がおいてあるはずです。その箱の中に、皆様の武器が入っています。もしも故意に他人の箱を開け、その中に入っていた武器を使用した場合は爆死していただきます。ただし、敵を殺してその敵の武器を手に入れるのはOKです。それでは、最初のミッションを与えます!最初のミッションは・・・あれ?どこにマニュアルあったっけ・・・え?机の下?ああそっかそっか・・・ありがとね。あ、それで最初のミッションは、誰か1人、殺害してください。それではミッション頑張ってください」

よし。ちょうど読み終わった。っつーか、最初のミッションが”誰か一人殺せ”って・・・

さて、赤い箱はどこに・・・足元かよ。

箱の中には、弾丸6発があらかじめ入れられたリボルバーと予備の弾丸12個とフライパンや油などの調理器具と少しの調味料が入っていた。

これを使えってことだな。というかこれ、銃刀法違反で逮捕だな。さて、俺のギフトは・・・

腕輪を操作すると、腕輪の上にこのような文字が浮かび上がってきた。



ギフト名

JUDGMENT


内容

相手が日本の法に触れる行為をした場合、強制的に刑罰を下す。ただし、自分が”有罪”の決定的な証拠を掴まなければ”有罪”にはできない。冤罪だった場合は自分が判決の3分の1を受けることになる。さらに、対象から半径20mにいないと発動できない。



なるほど。裁判官志望の俺にとってはピッタリの能力だな。このギフトでこのゲームにおける犯罪者を裁く、地獄の裁判官になれと・・・そういうことか。しっかしミスれば自爆か・・・いや、当たれば必殺のこのギフト、ミスれば自爆くらいのデメリットがないと最強クラスだかんな。武器との相性を考えると、暗殺とか奇襲が俺には向いてそうだ。しかし・・・

「まさかこっちが奇襲を仕掛けられるとはね!」

そう言って俺は後ろから来るナイフを避けた。心臓に向かっていた。背後からの一撃で相手を仕留める、殺し慣れているな。

「あ、おはようございます〜昨日会いましたね?昨日言い忘れましたが、僕の名前は紅林治、最近暗殺者始めました。現在のキル数合計は確か・・・52、3人です。いやぁ、暗殺家業、始めたばっかりですがこんなにいい仕事だとは思わなかったんですよ。僕はね、人間って“死ぬ予告が遅すぎる”と思ってるんですよ。心筋梗塞やガンは不親切だ。でも、僕が手を下せば、あなたに“もうすぐ死にますよ”ってちゃんと伝えられる。これはとても親切な職業なんですよ。あなたもそう思いませんか?」

あのグラサンのやつ、ヤバい奴だったんかよ。勝ち目はねぇな。あーあ、俺死んだな。いや、諦めるのはまだ早い。現在取れる行動は・・・

逃げる(相手は殺し屋のため、逃走対策もしていると考えたほうがいい)

バトる(一番絶望的だが、勝てば同時にミッションもクリアできる)

交渉する(おそらく敵の殺す目的はミッションクリアのため、かなり希望は低い)

この中で実行可能かつ合理的なものは・・・2. バトる だな。その場合、敵の次に取る行動は・・・良し。準備完了。

「凄いですね。キル数52,3人って。さすがは本職さんだ。」

「お褒めいただいて嬉しいです。それでは、あなたを殺させていただきます。」

そう言って紅林は姿を消した。おそらく木々の中に隠れたのだろう。ここまでは想定済み。

「うわぁぁぁあ!ちょっと!やめてくださいよ!話し合いましょう!いきなり殺すとか変ですよ!強制的にじゃあないんだから話し合いましょう!」

そう言って俺は逃げるふりをする。いろいろな方向に行きつつ。そして・・・

紅林が俺の前に立ってこう言った。

「あーあ、失望しちゃいましたよ。てっきりあなたは頭がいいのかと。それがあんなざまですか・・・呆れました。もうちょっと狩りをしたかったんですが、もう終わりにしましょう。本当につまらない戦いでしたよ。」

そう言って紅林は消え、気がつくと俺の上に馬乗りになっていた。そして、奴は俺の心臓めがけてナイフを振り下ろした。しかし、ナイフは俺が両手で防御して心臓まで達しはしなかった。

「あ、勘がいいんですね。ちょうど防御されちゃいました。だけど、僕とあなたじゃ筋力が違いすぎます。ほら、段々とナイフが心臓に近づいてますよ?最後に何か、言い残すことはありますか?」

俺は勝ちを確信した落ち着きある声で

「JUDGMENT 今より紅林治、君を刑法第二百四条に則って懲役三年に処す。この場合は確かな証拠――つまり、私の傷跡があるため、君の罪は確定した。そして、判決は即時実行される。」

そう言った瞬間、紅林の両腕と両足から鎖が伸びて近くの木々に巻き付いた。

なるほど。懲役刑や拘禁刑などはただ単に行動不能にするだけなのか。おそらく懲役刑は苦痛などの状態異常が加算されるのかもしれない。現に今苦しんでるし。しかし、1387通りの状況と567通りの罪状を考えたが、できる限り一番避けたかった傷害罪で起訴することになるとはな。さて・・・

「最初に話しかけてくれて、ありがとうございました。そして、さようなら。」

そう言って俺はリボルバーの撃鉄を上げ、引き金に指をかけ、彼の脳幹あたりに銃弾を撃ち込んだ。

彼は動かなくなった。

つーか、初めての殺人か。これで俺も犯罪者だな・・・。ゲーム終了直後に殺人罪、銃刀法違反、その他諸々で逮捕だな。あ、これでミッション達成か。しっかし、人殺したってのに意外と冷静なもんだな。多分、死刑判決の判決文を読み上げるときもこんな感じなんだろう。いや、自分自身で手を下すのと「殺れ」と命令するのでは重みが違うか。

・・・ん?

手の震えが止まらない。頭は冷静にこの状況を飲み込めているのに、体が理解できていない。

「止まれ」

そう言って俺は手の震えを止めようとした。なんで今更震えてんだよ。震えるんならリボルバー撃つときにしろよ。そのほうが人間らしい。仕方がない、別のことを考えよう。

待てよ?これって飯はどうなってんだ?あの質問のときに飯について質問してるやつは・・・いなかった。まじか。おい。まじか。あ、確か腕輪のシステムで”運営に質問する”ってのがあったよな?使ってみよう。

俺は説明書に従って腕輪を操作し、質問を打ち込んだ。その数秒後、放送で

「ピンポンパンポーン!えーっと、プレイヤー番号169番の方から質問です。『飯はどうすればいいですか?』はい。お答えしましょう。3食は自分で調達してください。この島には魚介類や動物、食べられる植物なども自生しています。それでどうにかしてください。火の方は腕輪を使って発生可能です。調理器具と油などの調味料は武器が入っていた箱に入れておいたはずです。あ、毒を持った魚介類や植物なども自生しているので、うっかり毒に当たらないように気をつけてくださいね。ちなみに箱の中には消毒液とかもあります。それではあと20日、頑張ってください。」

なるほど。確かに、足元を見ればなめこなどが生えている。・・・げっ!ドクツルタケ生えてる。これは気をつけなければ。さて、そこら辺をほっつき歩いて活動拠点でも決めるか。


そこら辺をほっつき歩いた結果、敵が来た場合にいち早く察知するためなども考えて島の中央部であり川の源流がある場所が候補としては一番良かったが、当然そこに拠点を建てようと考えている人たちは山ほどいた。それを物語るかのように、その地点には無数の血痕と死体の山があった。まだ血なまぐさい。

ここであったであろう戦闘の勝者とバトるのは得策ではないため、候補2の川の下流で水流が落ち着いている場所に拠点を建てることにした。川があれば敵が近づいてきた場合は足音でわかる。もっと下流に川が二股に別れた場所があったが、雨が降って水量が増えた場合は危険すぎる。自然災害で死んだなんて、誰の得にもならない。ま、死ぬつもりなんて毛頭ないが。

蔓などのロープ状のものを使ったわなで拠点周辺を囲い、罠に引っかかるとすぐさま木に吊り下げられるという仕掛けにしておいた。拠点としては先述したロープ状のものと木の枝などを使って簡易的なテントを建てた。

その最中、敵が一人襲来したが罠がうまく作動してくれた。殺す必要はないし、ほっとくことにした。

そんなこんなでもう夜だ。夕飯を作ろう。食材は・・・よし。今日は鮭のカレーだ。チキンカレーしか作り方は知らないが、いけるだろう。


油、玉ねぎ(ケララ切り)、にんにく(みじん切り)、生姜(みじん切り)を鍋に入れる。玉ねぎと生姜は探すのが大変だった。にんにくは匂いでなんとかなった。

鍋に入れたらあらかじめ作っておいたかまどに集めた枝に腕輪を操作して火をつけ、だいたい中火くらいで玉ねぎがしんなりするまで五分ほど炒める。

鍋に鮭の切り身、ターメリック(粉)、クミン(粉)、コリアンダー(粉)、チリペッパー(粉)、塩を加えて肉の表面の色が変わるまで炒める。ちなみにターメリックなどは箱に入れてあった。運営側も親切なもんだ。あ、もしかしたら山の向こうで同じように人間の肉を炒めてるやつもいるのかもな。川の近くでヨカッタヨカッタ。

鍋に水とトマトを加え、沸騰したら蓋をし、弱火で10分煮込む。


これで完成だ。皿があればよかったが、あいにく箱になかった。今から陶器の皿を作るとなると20日を有に超える。仕方がないため、鍋のままで食べることにしよう。

・・・うん。美味い。スパイスの香りがよく効いている。ただ、ナン、又はバスマティライスが欲しいな。

うまいものを食ったら眠くなってきた。そういや今の残り人数は何人だろうか。俺は腕輪を操作して確認してみることにした。


残り人数 186人

現在生存確率順

1位 市谷 章介 プレイヤー番号003番     

2位 欧 凛風 プレイヤー番号132番

3位 ギャリー・ファルトマン プレイヤー番号217番


なるほど。残り人数だけでなく、生存確率の高いトップ3も出してくれるのか。ありがたい。今も遠くで銃声や悲鳴が聞こえるが、罠があるから大丈夫だろう。今夜眠らずに起きているということはエネルギーを削ることであり、合理的に考えて今エネルギーを削ると、明日の戦闘でへばる可能性がある。さて、明日に備えて寝るか。しかし、デスゲームの初日がこんなにもあっけなく終わるとは意外だったな。いや、現実はそんなもんか。そういえば、奇妙なことがあった。上流で見た死体の山はすべてが日本刀のような鋭利な刃物で斬られたようなきれいな傷跡だった。ま、そこまで気にすることではないか。いや、もしかしたら・・・フッ、そんなわけがない。ただの妄想だ。

さて、眠気はまったくないが、明日のために寝なければならない。そう思って、俺は目をつぶった。



カレー制作手順参考 稲田俊輔、2023年、「個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド」西東社


19 days left…


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