93 旅立ちの朝 遺跡探索の相談
93 旅立ちの朝 遺跡探索の相談
朝日が昇りきった頃、カインたちは宿屋の一室で円卓を囲んでいた。
「——せやから、今日は遺跡探索に行こうって話やねんけど」
「ええやん! 古代の秘宝とか眠っとるかもしれへんしな!」
「こういうの、大体ロクなことにならない」
フェリシアが腕を組みながら鋭い視線をカインに向ける。
「問題はカイン。どうせまた余計なことする。」
「え、なんで俺だけ疑われてるんだよ?」
「いやいや、今までの経験上、遺跡とかダンジョン行くたびに、アンタが何かしらトラブル起こしてるやろ?」
「せやなぁ。前も“絶対押すな”って書いてあるスイッチ、普通に押してたしな」
「……だ、だって、そこにスイッチがあったら気になるじゃん?」
「最悪の理由」
カインはむくれながら、自作のフライパン《聖なる調理器》をポンと叩いた。
「まぁいいじゃん。どんな罠があっても、このフライパンがあれば大体なんとかなるし!」
「いや、ならんやろ」
「遺跡探索にフライパン持ってくん、アンタくらいやで」
「フライパンを舐めたらいかんぜ。こいつはただの調理器具じゃない。伝説級の武器だ!!」
カインがドヤ顔でフライパンを掲げると、宿のオーナーが通りがかりにボソッと呟いた。
「……昨日、それで目玉焼き作ってたの見たけどな」
「実用性もバッチリだ!!」
「「「違う、そうや(じゃ)ない!」」」
こうして、一抹の不安(主にカインのせい)を抱えつつも、一行は遺跡探索へと向かうのだった——。
朝の陽光が森の隙間から差し込み、小鳥たちのさえずりが心地よく響く。遺跡へと続く獣道を歩くカインたちは、まるで遠足気分だった。
「いやぁ、こういうのええな! 旅って感じや!」
「うん、こうやってのんびり歩くのも悪くないなぁ」
「……カインが何もやらかさなければ、ね」
言葉を発した直後、フェリシアの目が鋭く細まる。何かを察した彼女は、即座にカインのほうを振り向いた。
「……カイン、何してんの?」
「いや、ほら、キノコ生えてたからさ……」
カインの手には、怪しげな斑点模様のキノコ。しかも、それを無造作にフライパン《聖なる調理器》の上に乗せている。
「ちょっと待ち! それ、明らかに毒ありそうやん!」
「いや、見た目はヤバいけど、焼いたら大丈夫な気がするんよな?」
「根拠ゼロやん! なんでそんな自信満々やねん!」
「……そのフライパン、毒無効化できると思ってる?」
「お、鋭いなフェリシア。実はちょっと試してみたいなーって」
沈黙。
「……帰ろか」
「いや、まだ遺跡着いてへんで」
「帰った方が良い」
結局、キノコはフェリシアによって川に投げ捨てられ、カインは「食の探究心を尊重してほしい……」と涙目になっていた。
こうして、珍道中を繰り広げながらも、一行はついに遺跡の入り口へとたどり着いたのだった。




