91 旅の始まり「さて、どこ行こか?」
91 旅の始まり「さて、どこ行こか?」
エリュシオン大陸、某所——
澄み渡る青空の下、のどかな風が草原を吹き抜ける。小鳥のさえずりが響く中、カインたちは木陰の下に腰を下ろしていた。
巨大なリュックを背負ったカインが地図を広げ、しげしげと眺めている。
「さて、そろそろ次の目的地を決めたいんだけど——」
彼がそう切り出すと、目の前の即席キャンプ場では、それぞれが好き勝手にくつろいでいた。
ルナは焚き火の横でティーポットをゆらゆらさせ、優雅にお茶を淹れている。
イリスは木に寄りかかりながら剣の手入れをしており、フェリシアは何やら短剣を磨きつつ鋭い視線を向けていた。
……が、誰も返事をしない。
「おーい、お前ら、聞いてるかー?」
「……聞いとるけどなぁ。どこ行くん?」
「いや、それを相談しようって話やん!」
「適当なとこ」
「まぁまぁ、こういうのは冒険者らしくワクワクせにゃいかんだろ!」
そう言いながら、カインは地図の上にドンッと拳を置く。
「例えば、こういう古代遺跡とかどう!?」
「お、ええやん! ウチ、遺跡好きやで!」
「……アンタ、ただの戦闘狂やろ」
「遺跡って……危険」
「そんなん、俺の力でどうにかなるだろ!」
「どうにかなる精神、それで何回も死んだ」
「そんなん気にしてたら冒険なんてできねーぜ!」
「……ほんま、学習せぇへんなぁ(ため息)」
カインの無鉄砲さにはもう慣れたものの、それに巻き込まれる側の気持ちも考えてほしい。
フェリシアが呆れ顔で短剣を磨き続ける中、イリスだけは興味津々に地図を覗き込んでいた。
「んー? でもこの遺跡、未調査って書いてあるやん。そんなん、絶対何かおるで?」
「だから面白いじゃん!」
「……いや、絶対ロクなことにならへんわ」
全員がなんとなくカインの言うことに危機感を覚えつつも——
結局、流れでその遺跡へ向かうことが決まるのだった。
⸻
「よっしゃ、じゃあ出発だ!」
「……はぁ、また厄介ごとに巻き込まれそうやなぁ」
「まぁええやん! 楽しんだもん勝ちやで!」
「もう……」
こうして、「遺跡探索」という名の新たな死闘(?)が始まるのだった。
——この時、誰も予想していなかった。
「またカインが余計なことをして、命がけの大騒動になる」ことを……。




