9 これが異世界グルメ!? スライムおにぎりの衝撃
1.9 これが異世界グルメ!? スライムおにぎりの衝撃
「うわあああああ!!! ぷるぷるしてるぅぅぅ!!!」
俺は悶絶しながら地面をゴロゴロ転がる。
口の中でスライムが暴れまわる。いや、マジでぷるぷるしてるんだって!!
噛んだら普通に弾力があって、しかもなんか……口の中でうねうね動いてる気がする!!
「やべぇぇぇ!! これ食い物か!?」
「お、カイン、ええリアクションやなぁ!」
ルナは楽しそうに笑いながら、俺の悶えっぷりを観察していた。
「いや、待って! これ本当に食えるのか!? なんか生きてる気がするんだけど!!」
「せやせや、生きとるで?」
「生きてるのかよ!!」
衝撃の事実に、俺は思わず膝から崩れ落ちた。
「だってスライムって、魔力でできとるやろ? せやから、炊くときに火加減を絶妙に調整すると、魔力が抜けきらんまま仕上がるんよ」
「それ、つまりどういうことだってばよ!?」
「せやから、口の中でちょっとぷるぷる動くんや」
「いや、ダメだろそれぇぇぇぇ!!!」
「ほな、噛まずに飲み込んでみ?」
「それもう食事じゃなくて試練なんよ!!」
俺は涙目になりながらスライムおにぎりを見つめた。
見た目は普通の白いおにぎり……でも、その中には未知のぷるぷる生命体なのだ。
(俺は……この異世界で生きていけるのか……?)
ここが異世界グルメの洗礼の場なのか!?
ルナは俺の苦悶の表情を見て、ケタケタと笑う。
「ははっ! なんや、カイン、そんなに嫌なんか?」
「いや、普通に怖いだろ!! これ、絶対初心者向けの食い物じゃねぇ!!」
「ふーん……ほな、無理やり口に入れたろか?」
「ちょっ、おまっ……近づくなぁぁぁぁ!!!」
俺は全力で逃げ出した。
しかし、ルナはニヤリと笑いながら、軽やかに俺の背後を取る。
「うちは精霊の力を持っとるんやで? 逃げられると思っとんのか?」
「え、ちょっと、待っ……うわぁぁぁぁ!!!」
俺の口に、ルナの手で無理やりスライムおにぎりがねじ込まれた。
ぷるんっ
「…………っ!!!」
「ん~~~♡ 美味いやろ?」
俺は絶望した。
(異世界、怖ぇぇぇぇぇぇ!!!)