89 魔王、ランウェイを歩く!?
89 魔王、ランウェイを歩く!?
王都のファッションショー会場。
そこは煌びやかな装飾が施された巨大なホールで、魔法の照明が天井に浮かび、幻想的な光を放っていた。
貴族や有力商人たちが一堂に会し、華やかな衣装を身にまとったモデルたちがランウェイを闊歩している。
——しかし、その最前列で異様な緊張感が漂っていた。
「……なんで俺ら、こんなとこいんだよ……」
「ほんまやで……まさかホンマに魔王さんがモデルデビューするなんて……」
「ウチの親父、どんな顔して歩くんやろ……? 緊張してんのかな?」
「魔王が緊張とか、ない」
そして、ついにショーの終盤——
司会者が興奮気味にアナウンスした。
「Ladies and gentlemen! ここで、本日のスペシャルゲストをご紹介します!」
「魔王ゼル=オルディス、登場!!」
ドンッ!!!
突然、会場の照明が落ち、一瞬の静寂が訪れる。
——そして次の瞬間、闇の魔力が炸裂した!!!
黒い霧が舞い、ランウェイの中央に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
会場全体がビリビリと震え、貴族たちは悲鳴を上げた。
「な、なんだこの威圧感は!!!」
「魔王が本当に来るのか!? 冗談じゃなかったのか!?」
「そらそうだろ!! あんだけ話題になってて、今さらウソだったら逆に詐欺だ!!」
「……親父、演出がガチすぎるで……!」
そして、魔法陣から黒い炎が吹き上がると——
ドォン!!!
魔王ゼル=オルディス、降臨。
漆黒のロイヤルスーツを身にまとい、鋭い視線を送る魔王。
その姿はまさに、「威厳とカリスマの化身」だった。
ゴゴゴゴゴ……!!!(※威圧感)
「うっ……!! 威圧感が……強すぎる……!!」
「な、なぜか分からないが……魔王なのに……カッコいい……!!」
貴族たちの反応に呆れながらカインが言った。
「な、なんか知らんけど、意外と様になってるな……!?」
「普通にカッコいいのが逆にムカつく」
「魔王さんが……貴族の姫君よりも美しく見えるのは気のせい?」
魔王はゆっくりとランウェイを歩き出す。
その一歩一歩が、まるで戦場を支配する王のような貫禄を放っていた。
——バサァッ!!!
魔王がマントを翻すたび、闇の魔力が渦を巻く。
その光景に、観客たちは息をのんだ。
「親父……魔王というより、トップモデルみたいやな……」
「むしろ、ここにいる誰よりもオーラがあるのがすごいぜ!!」
それを見た貴族たちは……
「ふっ……これこそが真のカリスマというものか……!」(※なぜか感動)
「我々も……魔王様のように気高くあらねば……!」(※なぜか覚醒)
魔王ゼル=オルディス、まさかの貴族社会でのカリスマ化。
そして、ショーのフィナーレ——
「それでは、最後に魔王ゼル=オルディス様から、一言お願いいたします!」
「……貴様ら、人間どもよ。」
「いや、いきなり敵対的な口調はやめろよ!!!」
「……この世界の秩序を変えるのは、もはや力ではない……」
「(ゴクリ……)」
「……ファッションだ!!」
「いや、結論そこなんかーい!!!!!!!」
「そやけど……この流れなら納得できてしまうのが怖いな……」
「もうウチ、何も言えへん……」
「……あまりのカリスマ、逆らう気も起きない……」
そして——
王都の貴族社会は、この日を境に新たなトレンドを迎えることとなる。
「魔王ファッション」が貴族界の最新流行として爆発的に人気を集め、数日後には「魔王スタイル専門店」が乱立するのだった……」




