87 魔王、ついに広告塔デビュー!?
87 魔王、ついに広告塔デビュー!?
カインたちが呆然としている間にも、市場は活気づいていた。
「公式ロゴ入り魔王ツノ! 本物志向のあなたへ!!」
「魔王公認! つけるだけでカリスマUP!?」
「魔族のオシャレ最前線!! 魔王ツノコレクション2025!!」
次々と派手な宣伝文句が掲げられ、市場のあちこちでツノを身につけた客たちが自慢げにポーズを決めている。
「……もうどうしようもないとこまで来てるな、これ。」
「せやな……ここまで来たら、むしろカインも一本くらい買っといたら?」
「せっかくやしな! ウチの親父のツノをオシャレに活用するチャンスやで!」
「ツノをオシャレに活用するなんてす、画期的」
「いや、それ以前に魔王のツノをオシャレに活用するのはどうなんだ!?」
そんなことを言っていると、どこからともなく声が聞こえてきた。
「おや、あなた方が例の『カイン一行』ですか?」
振り向くと、そこには妙に派手なスーツを着た中年男性が立っていた。
ツノ型のサングラスをかけ、ネックレスには「M(魔王)ブランド」と書かれたロゴが光っている。
「……誰?」
男はニヤリと笑い、名刺を差し出した。
「魔王ブランド公式広報、ダリオ・ゴールドマンです。」
「魔王ブランド……???」
「いやぁ、あなた方には感謝してますよ! おかげで、魔王様が本格的にビジネスに乗り出される決断をされましてね!」
「……えっ、魔王がビジネスに乗り出した???」
「ええ! “魔王公認ブランド”として、正式にツノ製品を展開することになりました! そしてなんと、魔王様直々に新商品PRの広告塔になられることが決定しまして!」
「魔王が……広告塔???」
「そう! 魔王様自らモデルとしてカリスマを発揮し、市場を支配するという新時代の幕開けです!」
「まさか……」
「まさかとは思うけどなぁ……」
「まさかちゃうやろけど……」
「ちょうど、魔王様が初の公式ポスター撮影を終えたところです! ほら、こちら!」
そう言って、彼が広げたポスターには——
《魔王ゼル=オルディス、決めポーズで微笑む!》
《キャッチコピー:「あなたも魔王にならないか?」》
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「魔王、何やってんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ツノをおしゃれにキメた魔王ゼル=オルディスが、カリスマ全開で仁王立ちしているポスター。
その横には、「魔王ツノコレクション2025」のロゴが光り輝いていた。
——魔王、まさかの広告モデルデビュー。
カインたちは市場のど真ん中で、ただただ頭を抱えるしかなかった——。




