79 決戦! 魂を賭けた異世界レストラン!!
79 決戦! 魂を賭けた異世界レストラン!!
「いいか、みんな……この店はマジでやばい。逃げ道はない。つまり……」
カインが真剣に告げる。
「戦うしかない、ってことやな……」
「店の中でバトルとか、もはや何屋かわからへんぞ……!」
「異世界グルメ、こういうもの?」
店内は異様な空気に包まれていた。
幸運ローストビーフは未だに跳ね続け、神々の祝福シチューは自己紹介を続け、そして絶対に裏切らないシーフードパスタはフェリシアの腕に絡みついていた。
「これ離れない」
「ボクは決して君を裏切らないよ! ずっと一緒だよ!」
「……」
フェリシアは静かにナイフを構えた。
「みんな、武器を抜け! 料理との死闘だ!!!」
——異世界レストラン、まさかの戦闘開始!!
ズバァァン!!!
フェリシアが絶命剣でパスタを斬り裂く!
「ウワァァァァ!! でも愛は永遠だよ!!!」
カインは冷や汗をかきながら、跳ね回るローストビーフに渾身の拳を叩き込む!!
ドゴォォン!!!!
「焼き直す時間が……! 足りな……」
ボフンッと煙を上げ、ついに沈黙するローストビーフ。
「次はシチューや! この世から消したるでぇ!!!」
イリスの暗黒魔法が炸裂し、シチューの鍋を闇の炎で包み込む!!
「あっつぅぅぅ!? ちょ、待って!? せめて最後に自己紹介を——」
バシュウゥゥゥゥン!!!!
シチューはあっという間に蒸発し、何も残らなかった。
ルナはにこやかに見つめる。
「残るは……最後の一品やな」
そこには……一つのチキンが静かに佇んでいた。
運命のスパイシーチキン。
カインたちは、恐る恐るその様子を見つめる。
今までの料理があまりにも凶悪だったため、何かしらのギミックがあるに違いない。
「……来いよ」
チキンは……微動だにしない。
「……もしかして、普通に食えるんちゃう?」
「ちょっと切ってみるか?」
フェリシアがナイフをスッと滑らせた。
——その瞬間!!
「フッ……よくここまでたどり着いたな」
カインたち「「「チキンが喋ったぁぁぁぁぁ!!!!」」」
「私はこのレストランに隠された“伝説の調味料”を守る者……お前たちがここまでの試練を乗り越えたこと、認めよう」
「は!? なんの話だ!!?」
チキンはゆっくりと口を開く(※なぜチキンに口があるのかは謎)。
「お前たちに、真実を話そう……」
——『神々のエッセンス』は、もともと神すら恐れた禁断の調味料だった……
それを知ったオッサンが、味を追求するあまり封印を解き、この異世界レストランが誕生したという。
「つまり、元凶はオッサン……?」
「うちら、何のために戦ってたんや……」
チキンは静かに目を閉じた(※なぜチキンに目があるのかは謎)。
「さあ……お前たちに、最後の選択を与えよう」
1. チキンを食べる → 伝説の調味料の力を手に入れる
2. チキンを倒す → 店の封印が解け、脱出できる
「……いや、普通に倒して脱出でいいだろ」
「「「異議なし!!!!」」」
——バシュウゥゥゥゥン!!!!
運命のスパイシーチキン、撃破!!!!!
その瞬間、店全体がガタガタと揺れ始める。
壁に浮かび上がる魔法陣。まるでこの店自体が一つの結界だったかのように——
オッサンが慌てて叫ぶ。
「ま、待て! お前ら、せっかくの究極の料理を——」
「うるせええええええ!!!!!」
カインの拳がオッサンの顔面に炸裂!!!
——そして、店はドゴォォォォォン!!! と轟音を立てながら崩壊した。
……数分後。
カインたちは、無事にレストランから脱出していた。
振り返ると、そこには何もない更地が広がっていた。
「……なんやったんやろ、ほんまに」
「異世界グルメの闇、深すぎるわ」
「……普通のご飯が食べたい」
カインは、疲れ果てた顔で空を見上げた。
「……結局、俺らは何を得たんだ……?」
その時——
カインの手元に小さな瓶が転がってきた。
——『神々のエッセンス』
「……俺ら、まーたヤバいもん持ってるじゃんか……」
「「「捨てろ!!!!」」」
——こうして、カインたちは“異世界レストランの怪異”を乗り越えたのであった。
……もう二度と、食に関わる冒険はしないと誓いながら。




