77 異世界レストラン、まさかのリターンズ!? 逃げたはずが……
77 異世界レストラン、まさかのリターンズ!? 逃げたはずが……
——カインたちは誓った。
「もう二度と、あの屋台には行かん!!!」
異世界グルメを楽しむどころか命の危機に瀕したのだ。
まともな飯を求め、一行は王都の大通りへと向かった。
「よし、今度こそ普通の店に行くぞ!」
「ほんまやな……今度こそ、落ち着いてご飯食べたいわぁ」
「……変なものさえ出なければ、それでいい」
「まぁ、普通の飯っちゅうんが、どれだけありがたいもんか分かったわ」
そんなわけで、一行は美味しいと評判のレストラン『ラ・グランデ・エリュシオン』へと足を踏み入れた。
カランコロン♪
店内に入ると、ふんわりとしたパンの香りと、芳醇なスープの匂いが漂ってくる。
店の中央には暖炉があり、温かい雰囲気が広がっていた。
「おぉ……今度こそ当たりだ!」
「高級感あるし、期待できそうやねぇ」
「メニューも、ちゃんとまともやな」
「一番人気の料理を頼む」
一同は安心しながら席につき、それぞれ好きな料理を注文した。
カインは特製ローストビーフ、ルナはクリームシチュー、イリスはスパイシーチキン、フェリシアはシーフードパスタを選んだ。
——そして、ついに料理が運ばれてきた。
「おぉ……これぞ異世界グルメ! うまそうじゃん!」
美しい盛り付け、食欲をそそる香り。
今度こそ、まともな食事ができる……そう思った、その時。
「お待たせしましたぁぁぁぁ!!!!」
カインたちは凍りついた。
なぜなら、運んできたウェイターの顔が——
「……オッサン!!!!!!!!!」
そう、そこには紛れもなく、あの屋台オッサンが給仕服を着て立っていた。
しかも、めちゃくちゃドヤ顔である。
「へっへっへ、驚いたか? ワイはな、どんな店にでも出没できるんや」
「……あ、ありえへん……」
「なんでやねん!! さっきまで屋台におったやろ!!?」
「……これはもはやホラー」
カインは震える指で目の前の料理を指差した。
「お、お前が……これを作ったのか……?」
オッサンは満面の笑みで頷く。
「せや! ワイ特製の“幸運ローストビーフ”や!!」
「お前の“幸運”って、どう考えてもロクなことにならんやつだろ!!!」
「も、もしかして、シチューにも何か仕込んでるん……?」
「チキン……まさか、爆発せぇへんよな?」
「パスタ……パスタは?」
オッサンはさらに笑顔を深め、怪しげなスパイスの小瓶を取り出した。
「大丈夫や!! ちゃんと、神々の祝福が入っとる!!!」
——この瞬間、一同の顔が一気に青ざめた。
「いかん!!!!!!! 逃げるぞ!!!!!」
「も、もう勘弁してぇぇぇ!!」
「ウチ、普通のチキンが食べたかっただけやのに!!」
「……最悪、暗殺剣で料理を切り裂いて無効化する」
しかし、オッサンはバンッとテーブルに手をつき、言い放った。
「ふっ……逃げられると思うなや?」
「は、はぁ!? なんでだ!?」
その瞬間、店の入り口がガシャン!! と閉まり、天井から魔法陣が浮かび上がった。
「ここはな……ワイの“究極レストラン”!!!」
「究極とかいらないよ!! もう普通の飯が食いたいんだけだ!!!!」
「さぁ、今度こそ食うてみぃ!! 今回は“逃がさん”でぇ!!」
カインたちは、再び絶望のどん底に叩き落とされた。




