69 異世界グルメの罠!? 珍味コーナー突入!
69 異世界グルメの罠!? 珍味コーナー突入!
しばらく屋台巡りを楽しんだ後、カインはふと気づく。
「……あれ? みんな好きなもん食ってるけど、俺まだ何も食ってないじゃん」
ルナはワインを嗜み、イリスは肉串を頬張り、フェリシアは静かにスープを味わっている。にもかかわらず、カインの手は空っぽ。
「しゃーない、なんかうまそうなもんでも探すか……」
そう呟きながら市場を歩いていると、やたらと怪しい雰囲気の屋台を発見した。
『珍味コーナー』と書かれた看板が、ギラギラと妖しく輝いている。
「……なんか嫌な予感するな」
だが、時すでに遅し。
「お兄さん! そこのお兄さん!」
急に屋台の店主が話しかけてきた。やたらとノリがいい、太ったおっちゃんの魔族だ。
「今日はええもん揃っとるで! さあさあ、試食していき!」
「いや、俺は普通のものが……」
「お、これなんかどうや? 新鮮なゴブリンの耳フライ!」
ドン!!
そう言って、店主は揚げたてのゴブリンの耳を盛った皿を、勢いよくカインの前に突き出してきた。
「けっこうです!!」
即答である。
「ほんなら、こっちはどうや? スライムのネバネバ焼き!」
「絶対口の中ネバネバになるじゃん!」
「じゃあ、ドラゴンの目玉煮は?」
「見た目がグロすぎるよ!!」
カインが全力で拒否している間に、ルナたちも屋台の異様な雰囲気に気づいて近づいてきた。
「……カイン、なにやっとるん?」
「いや、俺は普通の飯を探してただけなんだけど……」
「どんな飯探したらここに辿り着くんよ」
イリスが呆れた目でカインを見る。
そんな中、店主は「これならどうや!」と、最後の一品を取り出した。
「幸運のゼリー! これを食べた者には、翌日めちゃくちゃラッキーなことが起こるで!」
そう言って店主が見せたのは、青白く光る不気味なゼリー。
「……めっちゃ怪しい」
「いやいや、お兄さん! これはマジで効果あるで! ほら、試しに一口!」
「うーん……」
カインは迷ったが、好奇心が勝ってしまった。
「まあ、ゼリーならいいか」
そう言って、ゼリーを一口。
──ぺろっ
「……お? なんだ、意外と普通の味だな?」
ほんのり甘く、なんとなくラムネっぽい爽やかな味がする。
「ほうほう、悪くないな! んで、明日はいいことがあるんだな!?」
「せやで! 明日はきっと人生最高の一日になるわ!」
カインはニッと笑い、屋台を後にした。
「ほんま、こういうのすぐ食べたらアカンって……」
「まあ、どうせインチキやろ?」
「……明日は様子を見たほうがいいかも」
──こうして、カインは『幸運のゼリー』を食べたまま、一行は市場巡りを終えた。
翌日——。
本当にカインにとんでもない幸運が降りかかるとは、この時誰も予想していなかった……。




