65 深夜の攻防戦!? フェリシアの試練
65 深夜の攻防戦!? フェリシアの試練
深夜――
カインは ぼんやりと目を覚ました。
部屋は静かで、外からは 虫の声が微かに聞こえる。
「……ん?」
なにか 気配を感じる。
カインは 目を凝らしてみた。
──すると。
フェリシアが布団の端っこで、異様に緊張した顔をしていた。
「……なにしてんの?」
「っ!!?」
フェリシアが ビクッと肩を震わせる。
「な、なにも、してない」
「いや、めっちゃ警戒してるじゃん」
カインは ため息をつきながら起き上がる。
「……お前が変なことをしないように見張っている」
「いや、俺が何をするっていうだよ!?」
「……男とは、そういうものだ」
「偏見すぎるだろ!!?」
カインは 頭を抱えた。
「お前なぁ……今までずっと一緒に旅してきたじゃん? 俺がそんなことするタイプだと思うか?」
「……それとこれとは別問題」
フェリシアが 頑なに目を逸らす。
「いやいやいや! 普通に寝たらいいじゃん!」
「……寝たら、お前が何をするかわからない」
「信用なさすぎるだろ!!?」
カインが 思わず布団をバンッと叩く。
「じゃあ逆に聞くけどな?」
「……なに?」
「フェリシアは俺に対して、何かそういう危険を感じることあった?」
「……ない」
「だろ? じゃあ大丈夫じゃん!」
「……だが」
「まだ言うか!!」
フェリシアは しばらく沈黙した後、ぼそっと呟いた。
「……今まで、男と同じ部屋で寝たことがない」
「え?」
カインが 思わず聞き返す。
「……こういう状況に慣れていない」
「……」
フェリシアは 僅かに頬を染めながら、目を伏せる。
「……だから、少し落ち着かない」
「……そっちかーー!!」
カインは 思い切り頭を抱えた。
「な、なんだ?」
「いや、てっきり俺が襲うとか警戒してるのかと思ったら……ただ緊張してるだけかい!」
「……ち、違う! そういうことでは……」
フェリシアは 慌てて弁解しようとするが、耳まで真っ赤だ。
「うん、もういいや。俺、向こう向いて寝るから」
カインは ため息をついて、布団に潜る。
「……本当に?」
「本当に本当に。変なことしないから、安心して寝ろ」
「…………」
フェリシアは しばらくカインをじっと見つめていたが――
「……わかった」
小さく頷き、 ようやく布団の中に入った。
……それから 数分後。
「……Zzz……」
「…………」
フェリシアは 横目でカインを見た。
完全に熟睡している。
(……なんなんだ、こいつは)
思ったよりも普通だ。
もっと落ち着かないかと思っていたのに……
「……すぅ……」
カインは 本当に何も気にせず、ぐっすり寝ている。
「…………」
フェリシアは ゆっくりと息を吐いた。
(……私も、寝よう)
そして、ようやく目を閉じた。
──だがその時。
ごそっ
「…………」
「…………」
カインの 足が、フェリシアの布団の端っこに乗っかった。
「…………」
フェリシアは しばらく無言で見つめた後──
スッ……
静かに短剣を抜いた。
「……寝ぼけただけだ!! そんな殺気、立てないでー!!!」
カインの 必死の叫びが、静かな夜に響き渡った。




