表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/244

6 京都弁少女、さらに誤解する

 


 6 京都弁少女、さらに誤解する



「精霊王の娘、ルナ・アストレア……か」


 俺はルナの名前を反芻しながら、改めて彼女を見つめた。


(なるほど……言われてみれば、それっぽい雰囲気はあるな)


 ルナはふわりと揺れる銀色の髪に、湖のように澄んだ青い瞳を持っている。服装はどこかエルフっぽいが、装飾は派手すぎず、どことなく高貴な雰囲気を醸し出している。


(っていうか、冷静に考えたらめちゃくちゃ美少女じゃね?)


 俺がそんなことを考えていると――


「……なぁ、カイン?」


 ルナが眉をひそめて、じーっと俺を見てきた。


「え?  どした?」


「なんか、めっちゃ見られてるんやけど……」


「えっ、いや!  そ、そんなことないぞ!?」


「ほんまかぁ?」


「ほんまほんま!」


 俺はぶんぶんと首を振る。


(やばい、変な誤解されたら終わる……!  ここはクールに振る舞わないと……!)


「……ほな、聞くけど」


「うん?」


「なんでさっきから、うちの服の胸元ばっか見てんのや?」


「ぶふぉっ!!?」


 俺は思わず変な声を出してしまった。


「ちょっ、待っ、それは誤解だよ!!」


「ほんまかぁ?  さっきから視線がそこに吸い寄せられとるで?」


「いや、違っ、ちがっ、これはアレだ、あの……!」


(落ち着け、落ち着けカイン!  こういう時は冷静に説明すれば――)


「ほな、なんで顔が真っ赤なん?」


「ぐふっ!!」


 詰んだ。


 俺はもう何を言っても信じてもらえないと確信した。


(くそぉ……!  俺はただ、精霊王の娘ってどんな感じなのかな~って観察してただけなのに……!)


「まぁ、ええわ」


「えっ、信じてくれた?」


「エロい目で見とることは確定やけど、うち、心が広いし」


「いや、だから違うって!!?」


 俺が必死に否定していると、ルナはふと腕を組み、何かを考え込むように視線をそらした。


「……ふむ。まぁ、幽霊かと思うたけど、幽霊やのうて、変態やったってことで納得しといたるわ」


「だから誤解がひどいんよ!!?」


 俺は地面に突っ伏して絶望した。


 ***


 数分後、なんとか誤解を解くため、俺はルナと対話を試みた。


「なぁルナ。そもそもお前、なんでこんなところにいるんだ?」


「ん?  ちょっと精霊たちと遊びに来たんや」


「遊び?」


「せや。でも、途中で迷ってもうてなぁ……」


「……それ、大丈夫なのか?」


「まぁ、しばらくしたら、おとんが迎えに来るやろ」


「おとん……あの精霊王が……?」


(なんか、すごいフランクな娘だな……)


「まぁ、せっかくここで会うたし、もう少しだけ付き合ってもらおか」


「付き合うって、何を?」


 するとルナはニヤリと笑い――


「うちと勝負や!」


「はぁ!?」


「さっきは不意打ちでやってもうたけど、カインがほんまに強いんか、ちゃんと確かめたいんや!」


「おいやめろ!  俺、さっき死んだばっかなんだぞ!?」


「せやから、また死ねばええやん?」


「やめろぉぉぉ!!!」


 こうして、俺は出会って早々、精霊王の娘とバトルするハメになったのだった――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ