表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/244

2   100回死んだらどうなる?  実験開始!

 2 100回死んだらどうなる?  実験開始! 



「よし、やるか!」


 俺はぐっと拳を握りしめ、辺りを見渡した。

 青々とした草原がどこまでも広がり、心地よい風が頬をなでる。空には雲ひとつなく、鳥が優雅に飛んでいる。


 ……とてもじゃないが、「死にまくるぞ!」という雰囲気ではない。


 だが、そんなことは関係ない!


 俺のスキル【ラスト・リバース】は「死ぬたびに強くなる」ものらしい。ならば、試さない手はない。ここで遠慮していては、異世界に転生した意味がないのだ!


「まずは……さっきのスライムでいいか」


 そう考えながら、俺は視線を巡らせる。


 すると、ちょうど目の前で、ぷるぷると震えている青いスライムを発見。


 おお、いいぞいいぞ。いかにも「異世界の最弱モンスター」といった感じのビジュアルだ。


「頼むぞ、相棒(勝手に相棒認定)!  俺をやれ!」


 俺は堂々と両手を広げ、胸を張った。

 さあ来い、スライム!  遠慮せずに俺を殺せ!


 ……が。


「……ん?」


 スライムは、ぽよんぽよんと軽く跳ねるだけで、一向に攻撃してこない。


(……お、おかしいな?)


 なんか、こっちをじっと見つめてるような気もする。いや、目があるのかどうかすら分からんが、とにかく「え、俺が何か?」みたいな顔(?)をしている。


「おーい、やる気あるのかー?」


 俺はスライムをちょんちょんと突いてみた。


 ぷるんっ。


 おお、意外と弾力がある。でも、痛みはまるでない。むしろひんやりしてて気持ちいい。


「えーっと……おい、もっと本気出せ!」


 そう言いながら、俺はスライムを持ち上げてみた。


 ぷにゅん。


 うん、柔らかい。ちょっとしたストレス解消グッズみたいな感触だ。


「ダメだ、全然攻撃してこない……こうなったら!」


 俺はスライムを頭の上に乗せ、わざと全身をくねくね動かしてみた。


「うおお!  どうだ!?  これで俺はもう完全にお前の捕食対象だぞ!」


 びたんっ。


 スライムが俺の顔に落ちてきた。視界がゼロになる。


(おっ、これはワンチャン窒息できるんじゃね?)


 そう思ったが、呼吸は普通にできた。どうやらこいつには、俺を覆い尽くして窒息させるような高等戦術はないらしい。


「……お前、戦う気あんの?」


 俺はため息をついて、スライムを地面に戻した。


(いや、待てよ……まさか)


 一つの可能性が脳裏をよぎる。


(もしかして、もうスライム程度じゃ俺を殺せないのか?)


 たった一度死んで復活しただけで、スライムの攻撃は完全に無力化されてしまったらしい。ステータス爆上がり?


「……やべぇな、このスキル……」


 俺はスライムをじっと見つめる。

 スライムも、じっと俺を見つめ返してくる。


 沈黙が流れた。


「……ごめんな、無理言って」


 俺はそっとスライムを撫で、その場を後にした。


「しょうがない、他の手を考えるか」


 こうして俺は、より強そうな敵を探し、森へと足を運ぶことにしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ