18 ウサギの報い!? 地獄の鍛冶修行、開幕!!
18 ウサギの報い!? 地獄の鍛冶修行、開幕!!
「さぁてカイン!! お前のせいでウチの看板がぶっ壊れたんだ!! 当然、責任は取ってもらうぞ!!!」
ハガード親方は腕を組み、鬼のような形相で俺を見下ろしている。
その横では、ルナが口元を押さえてぷるぷる震えていた。
「……ぷっ……ふ、ふふっ……!」
「笑ってんじゃねぇぇぇぇ!!! これ俺、完全に労働の刑 じゃねぇか!!!」
「まぁまぁ、カイン。ウサギを捕まえたんはええことやし、鍛冶修行も悪くないんちゃう?」
「お前は無責任に言うけどな!? 俺、鍛冶なんてやったことねぇんだぞ!!?」
「そんなん、やってみんとわからんやろ?」
「理不尽すぎるぅぅぅ!!!?」
そうこうしているうちに、俺はエプロンを渡され、無理やり鍛冶場に連行された。
ハガードはゴツゴツした手で鉄槌を握り、ドンと俺の胸に押し付ける。
「よし、まずは基礎中の基礎からだ。お前、ハンマー振れるか?」
「え? まぁ、剣は振れるんで、なんとか……」
「なら問題ねぇ!! まずはこれを打ってみろ!!」
ハガードが鉄床に乗せたのは……ウサギの前歯 だった。
「いや、前歯!?!?!?」
「当たり前だろうが!! 鉄喰いウサギの歯は、最強の刃物になるんだ!! こいつを鍛え直して、伝説級のナイフを作る!!」
「なんだその発想!? ウサギの歯ってそんなポテンシャルあったのかよ!!?」
「あるに決まってんだろうがぁぁ!! さっさとやれぇぇぇ!!!」
「無茶苦茶だぁぁぁぁ!!!?」
俺は涙目になりながら、ウサギの歯を鉄槌で叩くことになった。
カァァァァァン!!!
……硬ぇ。
「いっってぇ!? なんだこれ!? 俺、ハンマー跳ね返されたんだけど!?」
「はっはっは! そりゃそうだ! 鉄喰いウサギの歯は普通の鉄の数倍硬いからな!」
「先に言えやぁぁぁ!!!?」
「でも叩かんと、武器にはならんぞ?」
「そんなシンプルな理屈でいくのかよぉぉぉ!!!?」
結局、俺は歯を食いしばりながら、何度もウサギの歯を打ち続けた。
カァン!! カァン!! カァン!!
(くそっ……! 何度も死んだので体力は相当あるが、心が折れそうだ……!!)
「おうカイン、リズムが悪いぞ!! もっと魂を込めて叩かんか!!!」
「魂でどうにかなるなら苦労しねぇよぉぉぉ!!!」
「鍛冶は気合だぁぁぁ!!!」
ハガードが大声を張り上げる中、俺は必死でハンマーを振るい続けた。
そして数時間後——
「……で、できた……!!」
俺はボロボロになりながら、ようやく完成したナイフを手に取った。
白銀に輝く刃。鋭く磨かれた切っ先。
「おぉ……!」
まるで伝説級の聖剣みたいな輝きだ。
だが——
「あっ、折れた」
「オォォォイ!!!!!!」
俺の苦労の結晶が、指先でちょっと力を入れたら、あっさりとポキリと折れた。
「はぁぁぁぁ!? なんでぇぇぇぇ!?!?」
「ふむ……どうやら焼き入れが甘かったな……」
「最初からちゃんと教えろぉぉぉぉぉ!!!?」
ハガードは腕を組み、渋い顔で頷いた。
「まぁ、初めてにしちゃ上出来だったが……もう一回やり直しだな!」
「俺の苦労が水の泡ぁぁぁぁぁ!!!!!」
こうして、俺の地獄の鍛冶修行はまだまだ続くのだった——。