17 ウサギとの因縁、終結!? いや、終わってくれ……!!
17 ウサギとの因縁、終結!? いや、終わってくれ……!!
「ギャアアアアアア!!!!?」
俺は肩に食らいついた鉄喰いウサギを必死に引き剥がそうと暴れた。
「い、いてぇぇぇ!!? なんだこいつ!? まだ戦闘続行中なのか!?!?」
「そらまぁ、『鉄喰い』言うくらいやしな。カインの肩、ちょっと固めに感じたんちゃう?」
「俺の肩は鉄じゃねぇぇぇ!!! 生身だぁぁぁ!!! いてぇぇぇぇ!!!」
「ほな、ウサギさんも間違えたんやな」
「謝罪と賠償を要求するぅぅぅぅぅ!!!」
俺は涙目になりながらウサギを振り回すが、こいつ……まったく離れる気配がねぇ……!!
「くっそ!! 死ぬ!! 死ぬ!!このままじゃあ死ぬー!!」
——死亡——転生6回目——。
スキル【ラストリバース】発動——。
バチンッ! 何かが弾ける音とともに、俺の体が光に包まれる――。
あ! 生き返った。強くなってるー。
バキィ!!
ウサギの前歯が折れた。
「ぴょっ……!?」
ウサギが驚いたように目を見開き、口をパクパクさせている。
「へへっ……! どうだ、俺の最強ボディの威力は!!」
「ぴ、ぴょん……(ショック)」
ウサギはしばらく呆然としていたが、次の瞬間——
「ギシャアアアアアア!!!!」
「怒ったぁぁぁぁぁぁぁ!!?!?!?!」
どうやら「前歯を折られた」という屈辱にブチギレたらしい。
「ちょ、待て待て待て!! お前、なんでそんなにプライド高いんだよ!?」
「そら、鉄喰いウサギにとって前歯は命やからな」
「その命を俺の肩で折るなぁぁぁぁ!!!?」
ウサギは怒り狂いながら、俺の服をビリビリ引き裂きにかかった。
「わーーっ!?!? やめろ! 俺の唯一の装備が!?!?」
「カイン、服破れたら、次はどんな恰好になるん?」
「そんなこと聞くなぁぁぁ!!! ていうか、お前ちょっと楽しんでるだろ!!?」
「そらもう、おもろすぎるわ」
「悪魔かお前はぁぁぁぁ!!!」
俺は全力でウサギを引き剥がし、最後の手段に出た。
「もう知らねぇ!! くらえぇ!!!」
俺はウサギを全力でぶん投げた。
「ぴょっ!?!?」
ウサギは見事な放物線を描きながら空を舞い、鍛冶屋の方向へ飛んでいった——。
ドガァァァァァン!!!!
「……ん?」
鍛冶屋の方から、何やら派手な音が響いてくる。
「……なぁ、ルナ……今の音、まさか……」
「うん、多分、鍛冶屋のどっかに激突したんちゃう?」
「……マジかよ……」
俺たちはそろりそろりと鍛冶屋に向かった。
そして目の前に広がった光景——
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!???」
そこには、鉄喰いウサギが鍛冶屋の看板に突き刺さっている姿 があった。
完全にめり込んでいる。
「お、おい、大丈夫か……?」
俺はおそるおそる声をかける。
「ぴょ……ん……(白目)」
ウサギは完全に意識を失っていた。
「……えぇ……」
なんか、さっきまでの勢いが嘘みたいにぐったりしてる。
その時——
「おおおおおおい!!!!」
鍛冶屋の中から、親方が鬼の形相で飛び出してきた。
「お前らぁぁぁぁ!! 何しやがったぁぁぁぁ!!?!?!?」
「す、すみません!!! これは不可抗力というか、その、ウサギが俺に噛みついたので反撃を……!!」
「ウサギ投げてくるやつがあるかぁぁぁぁ!!!」
「ですよねぇぇぇぇ!!!!」
俺は土下座するしかなかった。
だが、ハガードは腕を組み、ウサギを見上げると——
「……ふむ……まぁ、結果としてウサギを捕まえたことには変わりねぇな」
「えっ、許してくれるんですか!?」
「だが!!」
ハガードは俺をギロリと睨んだ。
「お前にはこの責任を取ってもらう!!!」
「責任……?」
「捕まえたウサギを鍛冶の素材にするため、お前にも手伝ってもらう!!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?!?!?」
まさかの鍛冶仕事に巻き込まれる俺。
こうして、俺のウサギとの因縁は、まだまだ終わらなかった——。