14 試練の相手は、まさかの……
14 試練の相手は、まさかの……
「で、試練の相手ってのは何なんだ?」
俺は暴風剣(仮)を肩に担ぎながら尋ねる。
「うん、まぁそこまで強い魔物じゃないけど……ちょい厄介なやつなの」
鍛冶屋の少女は、腕を組んでうーんと唸る。
「具体的には?」
「……“鉄喰いウサギ”」
「……は?」
「鉄喰いウサギ」
俺は思わず聞き返した。
「待て待て待て!? ウサギって、あのウサギか!? もふもふしてて可愛いやつか!?」
「まぁ、見た目はウサギっぽいけどねえ……」
「なんか嫌な予感がするんだけど!?」
ルナが横から補足する。
「鉄喰いウサギはなぁ、鉱山地帯に生息する厄介な魔物やで」
「魔物……? もう名前からしてヤバそうなんだけど……」
「せやな。金属をバリバリ噛み砕いて食べるくらいにはヤバいで」
「…………は?」
「せやから、普通の剣で戦うと、一瞬でボロボロにされてまうんよ」
「いやいやいや!? そんなやつを試練相手に選ぶな!!!」
俺のツッコミを無視し、鍛冶屋の少女はニヤリと笑う。
「せやけど、アンタの剣なら風の精霊術がかかっとる。うまく使えば、アイツの牙をかわしつつ倒せるはずや!」
「いや、理論的には分かるけどさぁ……!!」
俺は頭を抱えた。
(まさかの初戦が“金属を食うウサギ”とか……)
「ま、試練だし、がんばてね?」
鍛冶屋の少女は俺の背中をバシバシ叩いた。
「はぁぁぁ……もうやるしかねぇか……」
俺はため息をつきながら、暴風剣(仮)を握りしめた。
「よし、やるぞ!!!」
こうして、俺の初めての武器を賭けた戦いが幕を開けた——。