13 初めての武器と、1軒目の鍛冶屋の試練
13 初めての武器と、1軒目鍛冶屋の試練
「——それじゃあ、これ使ってみて?」
鍛冶屋の少女が、俺の目の前にドンッと無造作に剣を置いた。
「……ん?」
俺は剣を手に取る。
(おぉ……見た目はなかなかカッコいいな)
鍛冶屋の床に立てかけられたそれは、黒光りする刃と、頑丈そうな柄を持つ剣だった。
「へぇ、意外といい感じじゃねぇか!」
「でしょう? 私が試作で作った“ちょいワケあり”の一本よ」
「……ちょいワケあり?」
俺は嫌な予感を覚えた。
「まぁまぁ、使ってみたら分かるわ!」
「そういうパターンが一番怖いんだけど!?」
ルナが隣でクスクス笑っている。
「カイン、お前さん、試練やからってビビっとるん?」
「ビビってねぇよ!! ただ、“ワケあり”って言葉がすごく気になるだけだ!!」
「ま、とにかく試しに振ってみて?」
鍛冶屋の少女がニヤリと笑った。
「分かったよ……それじゃあ……」
俺はゆっくりと剣を構え、試しに軽く振ってみた。
——ブオォォンッ!!!
「うぉっ!!?」
予想をはるかに超える風圧が発生し、俺の髪が爆発したみたいに逆立つ。
さらに、その衝撃で後ろにいたルナのスカートがふわっと舞い上がった。
「きゃっ!?///」
「わっ!? ご、ごめん!!?」
慌てて目をそらす俺。
「ちょ……ちょっとカイン!? 何さらしとんねん!///」
「違う!! 俺のせいじゃねぇ!! この剣が悪い!!!」
「剣のせいってなんやねん!?///」
ルナは顔を真っ赤にして胸元を押さえつつ、ジト目で俺を睨む。
一方、鍛冶屋の少女は腹を抱えて爆笑していた。
「ぷっ……あはははは!! でしょ、でしょ! いい反応するなぁ!」
「お前、わざとやったな!!?」
「まぁ、試作品だし、ちょっとクセがあるだよ」
「クセがあるってレベルじゃねぇ!!!」
剣をまじまじと見つめると、柄の部分に妙な模様が彫り込まれていた。
まさかこれ……
「これって、風の精霊術か?」
「そうよ! ちょっとした補助魔法がかかってるのよ!」
「“ちょっとした”の意味が違ぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺の絶叫が鍛冶屋の中に響いた。
——こうして俺は、”暴風剣(仮)”を手にし、試練に挑むことになったのだった。