122 天翔の霊草の試練!(帰還編2)
122 天翔の霊草の試練!(帰還編2)
カインたちはようやく山を下り、麓の森へと足を踏み入れた。
霊草を無事に手に入れたことで目的は達成されたものの――
「……はぁ、疲れた……」
イリスが地面にぺたんと座り込み、大きくため息をついた。
「ほんま、どないなっとんねんこの山。登るのも地獄やったのに、下りはカインが流れ星になって墜落するし……」
「まあ、無事に降りてこれたんだし、結果オーライだろ?」
カインが爽やかな笑顔で言うが、イリスはじとっとした目で睨みつける。
「カイン、”無事”の意味分かってるか? さっき地面にめり込んどったやろ?」
「大丈夫だ! こういうのは勢いと根性だぜ!」
「ほんま……頭のネジ外れとるわ……」
イリスが呆れ返る中、ルナもため息をつきながら霊草が入った袋を確認した。
「まぁ、霊草はちゃんと持っとるし、これで村に戻れるなぁ」
「それはええけど……この山道、帰りもめっちゃ長ない?」
イリスが辺りを見渡しながら言った。
森の中にはうっそうとした木々が広がり、昼間にもかかわらず陽の光があまり差し込んでいない。風に揺れる葉のざわめきが、何とも不気味だった。
「……確かに、道は険しいな」
カインも険しい顔をしながら、しっかりと足元を確認する。
「まぁ、転がり落ちるよりはマシやろ?」
「そらそうやけどな!」
そんなやりとりを聞きながら、フェリシアは淡々と歩いていた。
「……そろそろ黙って歩かない?」
「えぇ? なんでや?」
「うるさい。あと、イライラする」
フェリシアがピシャリと言い放つと、カインとイリスは「うっ……」と口をつぐんだ。
ルナが苦笑しながらカインの腕を引っ張る。
「まぁまぁ、フェリシアは静かに歩きたいんやろ」
「だけど……黙って歩くの、なんか退屈じゃない?」
「うん……確かにな……」
イリスも腕を組んで考え込む。
すると、カインの顔がニヤリと笑みに変わった。
「じゃあ、帰り道はゲームでもするか!」
「ゲーム?」
「そう! ”一番先に村に着いたやつが、晩ごはんを好きなもの選べる”競争だ!」
「おぉ、それおもろそうやな!」
イリスがすぐに乗り気になる。
「カインの料理、美味しいしなぁ。ほな、ウチも負けへんで!」
ルナも楽しそうに腕まくりをした。
しかし――
「……バカバカしい」
フェリシアは冷たい目で一蹴する。
「そう言うと思った! だから、フェリシアには特別ルール!」
「……は?」
「”勝ったら、今日一日カインに命令し放題”ってのはどうや?」
「……」
フェリシアは一瞬、考え込む。
カインを自由にできる……?
(……いや、べ、別に興味はないけど……)
でも、こいつに「静かに歩け」と命令できるのは魅力的だ。
「……やる」
フェリシアはそっけなく言ったが、カインはその言葉にニヤッと笑った。
「よし! じゃあ、レース開始!!」
「負けへんでぇぇぇ!!」
「うちもやるで!」
バッ! と三人が同時にスタートを切る。
だが――
「……競争しながら道間違えてる」
フェリシアが呆れた声で呼び止めた時には、すでに三人とも別々の方向に走り去っていた。
「……バカしかいない」
フェリシアは頭を抱えながら、一番正しい道を冷静に歩いて行くのだった――。




