111 激戦! 闘技大会決勝戦、フライパン VS 伝説の剣士!?
111 激戦! 闘技大会決勝戦、フライパン VS 伝説の剣士!?
王都闘技大会、決勝戦。
カインは闘技場の中央に立ち、フライパンを片手に軽く振っていた。
目の前には対戦相手——“雷刃”グラディウスが仁王立ちしている。
グラディウスは王国最強の剣士の一人で、雷を纏う魔剣の使い手だ。
その全身から放たれる鋭い気迫は、まるで嵐のよう。
観客席からも熱狂の声が飛ぶ。
「ついに決勝か! フライパンの英雄 VS 雷刃グラディウス!」
「いくらカインが強くても、さすがに相手は伝説級の剣士だぞ!」
「つーか、改めて考えると、フライパンで決勝戦まで来るの意味わからん……」
カインは深く息をつき、グラディウスを見た。
——強い。
これまで戦ってきた相手とは、明らかに格が違う。
だが、不思議と怖くはなかった。むしろ、ワクワクする。
「ふーん、これが王国最強の剣士かぁ……」
「ほう……お前が噂のフライパン戦士か」
グラディウスは目を細めると、ゆっくりと剣を抜いた。
その刃には紫電が走り、空気がビリビリと震える。
「……カイン、ほんまに大丈夫なん?」
「いや、今さら心配しても遅いやろ。」
「今までの相手とは次元が違う。負けたら即死レベル……」
そんな仲間たちの言葉を背に、カインはフライパンをクルリと回す。
「いや、俺的にはむしろいい感じだ。強いやつと戦うの、好きだしな」
「フッ、いい目をしている……ならば、遠慮はしない」
ズバァァァンッ!!!
雷が唸り、グラディウスの姿が一瞬で消えた。
次の瞬間——カインの目の前に現れ、雷を纏った剣が振り下ろされる!
「うおっ!? 速っ!!」
カインは反射的にフライパンをかざした。
ガァンッ!!!
雷剣とフライパンがぶつかり合い、凄まじい衝撃波が闘技場を揺るがす。
地面がひび割れ、観客席の人々が思わず悲鳴を上げた。
「……フライパンで、雷剣を防ぐとはな」
「だろ? この《聖なる調理器》、伝説級だし」
「ならば、試してみるか……本気の雷をな!」
バチバチバチバチッ!!!
剣から放たれた雷がカインを包む!
しかし——
「いや、俺には雷耐性あるんだ」
「……なに?」
カインの体はまったく焦げておらず、むしろ平然としていた。
「ほら、おれ死ぬたびに死因に対して耐性増えていくから…… 。昔、雷魔法で死にすぎて、“雷無効”覚えちゃってね」
グラディウスの顔色がかわる。
「…………」
「……ほんま、カインは死にすぎてバグっとるで」
「うん、もはや反則やわ……」
「雷無効」
グラディウスは一瞬黙ったが、すぐに鋭い笑みを浮かべた。
「……面白い。ならば、純粋な剣技で決めるまでだ!」
彼は剣を構え直し、息を深く吸い込む。
「——雷刃奥義・雷光一閃!!!」
ズバァッ!!!
一瞬で視界が白くなった。
グラディウスが放つ最速の剣撃——まるで光そのものが斬りかかるような速度だ!
ギィィィンッ!!!
だが、その一撃は——
「……ほい、フライパンカウンター」
ゴシャァァァンッ!!!
フライパンの底で見事に迎撃され、グラディウスの剣は弾かれた。
「なっ!?」
「俺、それなりに物理攻撃無効化もあるだ」
「そんなバカな!!」
バランスを崩したグラディウスに、カインは素早く距離を詰める。
「じゃ、お返しだ——“フライパン・スマッシュ”!!!」
ドゴォォォォンッ!!!!
フライパンの一撃がグラディウスの腹に炸裂。
王国最強の剣士が吹っ飛び、派手に地面を転がった。
——そして、静寂。
観客全員が息を呑み、決着の瞬間を見つめる。
しばらくして——グラディウスはゆっくりと起き上がり、肩をすくめた。
「……降参だ」
その瞬間——
「うおおおおおおおおっ!!!!」
闘技場が歓声で揺れた。
「マジか!! フライパンが雷剣に勝ったぞ!!」
「こいつ、ほんとに料理人なのか!? いや、なんだこいつ!!」
「フライパンの英雄、カイン!!!」
カインはフライパンを軽く掲げる。
「じゃ、優勝賞金もらってくぜ」
「なんやろ……勝ったはずやのに、これでええんやろかって気分になるなぁ……」
「カインが戦うたびに、ウチらの常識が壊れていくで……」
「カインの伝説がまた一つ増えた」
こうして、カインは王都闘技大会の優勝者となった。
——フライパンを手に。




