108 貴族の陰謀!? 王都闘技大会の裏側とは!
108 貴族の陰謀!? 王都闘技大会の裏側とは!
闘技場の控え室——。
カインはフライパンを磨きながら、勝利の余韻に浸っていた。
周りでは、観客や参加者たちがまだ騒いでいるのが聞こえる。
「おい、マジかよ……フライパンであのデカブツ倒したのか?」
「新星の登場じゃね!? まさかの料理人系最強説!?」
「いや、あれ料理人じゃなくて普通に戦士だろ……え、マジで料理もすんの?」
そんな中、ルナ、イリス、フェリシアの三人が控え室に入ってきた。
「……ほんとに勝たね」
「いや、勝つとは思っとったけど、まさかフライパン一発で倒すとはな……」
「ていうか、そもそもなんでそのフライパン、戦斧とぶつかっても壊れへんの?」
カインはフライパンの底を軽くポンポンと叩いて、得意げに笑った。
「そりゃコイツ、《聖なる調理器》だぞ? ただのフライパンだと思ってたら大間違いじゃん」
「……あんなぁ、それ、普通のフライパンやのうて、伝説級の武器なんやろ?」
「せやせや。せやけど、それを戦斧受け止めるために使うやつおらんやろ!」
「普通に剣使えばいい……」
「いや、逆に聞くけど、俺が普通に剣振り回してたら面白いか?」
沈黙。
ルナ、イリス、フェリシアが顔を見合わせ、微妙な表情になる。
確かにカインがまともに剣を使うのは、妙にしっくりこない。
「……まぁ、確かにカインが剣持って真面目に戦うの、なんや違う気がするわ。」
「フライパンのほうがカインらしい」
「いやいや、そこ納得するんやなく、普通に戦う方向に戻そうや」
そこへ、控え室の扉がガチャリと開いた。
入ってきたのは、華やかな衣装を身にまとった貴族風の男。
その後ろには、無愛想な顔をした護衛騎士たちが控えている。
「ほう……お前が“フライパンの異端児”か」
「誰が異端児じゃい!」
「これは失礼。私はエルネスト・フォン・ブランシュ。王都の有力貴族であり、この闘技大会のスポンサーの一人だ」
「ほう、それで?」
「実に興味深い戦いだった。正直、貴族たちは皆、お前のことを無名の雑魚か何かだと思っていたが……まさか、あの巨漢を一撃で沈めるとはな」
「そらどーも。でも、そんなこと言うためにわざわざ来たのか?」
「フフ……いや、私は提案をしに来たのだ」
彼はニヤリと笑い、扇子を開く。
「お前、ワシの傘下に入らんか?」
カインはピクリと眉を上げる。
「……は?」
「このまま勝ち進めば、お前は注目を浴びるだろう。だが、貴族社会はそう甘くない。そこでだ、お前がワシの庇護下に入れば、安全に試合を進められる。さらに、莫大な報酬と特権を与えてやろう」
「……つまり、お前の駒になれってことか?」
「言い方が悪いな。ワシはお前の才能を評価しているだけだ。 これはお前にとっても悪い話ではないはずだ」
その言葉に、ルナ、イリス、フェリシアがピリッとした空気になる。
「カイン、こんな話に乗ったらあかんで。」
「せやせや。コイツ、明らかに裏があるやん。」
「胡散臭い……」
カインはしばらく考えたあと——
「うん、やっぱパスで」
「……ほう?」
カイン「そもそもワイ、偉そうなヤツの下につくの嫌いやねん。」
「フフ……そうか。しかし、お前は分かっていないようだな。この王都で貴族を敵に回すということが、どういうことかを」
そう言うと、エルネストは護衛騎士たちに目配せした。
「……ワシの提案を断るというのなら、それなりの代償を払ってもらうとしようか」
護衛騎士たちが、一斉に剣に手をかける。
「……おいおい、これってつまり——決闘ってことか?」
「その通りだ。貴族に盾突いた愚か者の末路を、そのフライパンで思い知るがいい」
カインはニヤリと笑い、フライパンをクルリと回す。
「……しゃーないな。じゃあ、まとめて料理してやるぜ!」
——王都闘技大会、裏に潜む貴族の陰謀。
カインは《聖なる調理器》を手に、新たな戦いへ挑む——!




