102 王都突入! 変装ミッション開始!
102 王都突入! 変装ミッション開始!
王都の城壁の前、人の流れに紛れながら、カインたちは緊張感たっぷりに門の前へと進んでいった。
もちろん、それぞれ「完璧な変装」を施して。
カインはシンプルな旅人の服を着せられ、ルナの腕にそっと手を添えている。
ルナは可憐な貴族風のドレスに身を包み、「新婚の妻」らしいほんわかとした笑顔を浮かべていた。
イリスはシンプルなワンピースに着替えさせられ、ルナの妹役に。
フェリシアは鎧を身につけ、侍女兼護衛騎士という設定で落ち着いた。
そしてベルモンド——
フードを深く被り、腰を曲げて杖をつきながら「人生の酸いも甘いも噛み締めた老人」という風格を醸し出している。
カインがあきれたようにベルモンドを見つめる。
「……おっさん、それ完全に何か企んでる詐欺師の演技じゃん?」
「バカを言うでない! ワシはただの心優しき爺さんに見えるはずじゃ!」
「……どっからどう見ても詐欺師やわ。」
「捕まるの、おっちゃんからやろなぁ。」
「今のうちに距離を取るべき」
「おぬしら冷たいわ!!」
そんなやり取りをしつつも、いよいよ門番の前にたどり着いた。
王都の門番たちは鋭い目つきで通行人をチェックしている。
特に、最近は密輸や賊の流入が増えているらしく、警戒が強化されているらしい。
カインたちのような「どこか怪しい連中」には、当然のように厳しい視線が向けられる。
「お前たち、どこから来た?」
「うちら、新婚さんやねん」
「……は?」
「そうだ、俺たち新婚旅行中なんだよ」
——カインは、顔をひきつらせながらも、できる限り自然な笑顔を作った。
ルナはすかさず腕を絡ませ、「幸せオーラ全開の新婚の妻」ムーブを開始。
「ねぇ、あなた♡」
カインは、額から汗を流す。
「(無茶振りやめて!?)」
門番はじっと目でかいんを見つめた。
「…………」
門番は怪訝そうな顔をしながらも、ルナのドレス姿と品のある態度に、少し信憑性を感じたようだ。
「……で、後ろの連中は?」
その視線が、カインの後ろに立つ「ルナの妹役」イリスへと向けられた。
「え、えーっと……ウチは、この姉ちゃんの妹やねん。」
——関西弁がバリバリに出ている。
「……お前、なんか妙にガラ悪くないか?」
「え、えぇ!? そんなことあらへんで! ほんまやで!? ウチは上品な令嬢やで!?」
「(無理がある……)」
「(こいつ演技下手すぎだろ……)」
「ふむ……まぁいい。では、その護衛騎士と老人は?」
「私は、護衛を務める騎士」
フェリシアはキリッとした表情で、端的に名乗った。
その凛々しさが功を奏したのか、門番は「なるほど」と頷く。
だが——
「——で、お前は?」
視線がベルモンドに向けられた。
「わ、わしはな……その……」
ベルモンドはモゴモゴと口を動かしながら、何かを考えている。
門番「?」
次の瞬間——
「ワシは、余命いくばくもない病の身でな……孫娘の幸せな姿を見るまでは死ねぬのじゃ……」
そう言うと、ベルモンドはわざとらしく咳き込み、フラつく演技をしてみせた。
「(うわぁ、あからさまに怪しおすなぁ……)」
「(あかん、絶対ボロ出るわ……)」
「…………」
門番はしばらく沈黙した後、ふぅ、とため息をついた。
「まぁ、問題はなさそうだな……通れ。」
「えっ、いいの!?」
「……あっさりしとるなぁ」
「なんや、意外とチョロいやん?」
「本当は、お前たちみたいな旅人はもう少し調べるんだが……」
門番はちらっとベルモンドを見て——
「余命いくばくもない老人の願いを邪魔するほど、俺たちも鬼じゃない」
「ほっほっほ! ありがとうのお若いの!」
——こうして、カインたちは無事(?)王都へ入ることができた。
しかし、カインは何か引っかかるものを感じながら、ぼそっと呟く。
「……なんか、おれらの中で一番ヤバいやつが一番すんなり通してもらえた気がするんだけど?」
「……考えたら負けやさかい」
「ほな、王都で遊びまくるでー!」
「……とりあえず、宿を探そ」
こうして、カインたちはついに王都へと足を踏み入れたのだった。——が、この後さらに騒動が待ち受けていることを、彼らはまだ知らない。




