1 転生と最初の死
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第一章:転生と最初の死
1 転生と最初の死
「――え? 俺、死んだ?」
見知らぬ草原に転がる俺。空には雲一つない青空。鳥のさえずりも聞こえる。のどかだ。めちゃくちゃのどかだ。
なのに、俺の腹には大穴が空いていた。
「……痛みはないけど、これ絶対死んでるよな……?」
訳がわからない。さっきまで俺は大学の講義をサボって、コンビニで買った唐揚げ棒を食ってたはずだ。それが気づいたら、異世界転生とかいうファンタジーのど真ん中に突っ込まれている。
『スキル【ラスト・リバース】発動』
不意に、頭の中に機械的な声が響いた。そして次の瞬間、
バチンッ!
何かが弾ける音とともに、俺の体が光に包まれた――。
……で、気がついたらまた同じ草原に立っていた。
「えっ、復活してる……? しかも、なんか体が軽い! 『スキル【ラスト・リバース】? リバース?」
俺は何度か屈伸してみる。すげぇ、疲れがまったくない。体がすっきりしているし、むしろ前より調子がいいまである。
そして目の前には、さっき俺を殺した犯人――スライムがぴょこぴょこと跳ねていた。
「お前かよ!」
異世界転生して最初に戦った敵がスライムで、しかも負けた。情けなさすぎる。
「いや、待てよ……もしかして、死ぬたびに強くなるってことか?」
俺は試しに拳を握りしめ、スライムに向かってパンチを放つ。
「せいやっ!」
ビシュッ! という音とともに、スライムが飛び散った。
……一撃!?
「すごい! さっきと全然違う。明らかに強くなってる! ほんとに強化型死に戻り? でも……これ、もし100回くらい死んだらどうなるんだ?」
異世界召喚でチート能力をもらうのはお約束だ。興味本位で試してみることにした俺は、この後、わざと死にまくるぞと意気込んだ。
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