第1話 酔いどれ亭、再建の時!
はーい、みんな覚えてる? 酔いどれ亭の看板エルフ、リリィよ!
金色の髪にエメラルドグリーンの瞳、赤いエプロンをなびかせて今日も元気に酒場を切り盛り――したいところだけど、今はまだ仮店舗の「酔いどれ小屋」で営業中。ええ、前の店は派手に吹っ飛んだわ。魔法樽の暴発って怖いわね! でも、へこたれてなんかいられない! 酒とつまみと仲間がいれば、どこだって最高の酒場になるんだから!
それでもやっぱり、「酔いどれ亭」を復活させたいのよ!
借金は返した! 貯金も順調! となれば、次にやるべきは――そう、大口の資金提供者を見つけて、豪勢な新店舗を建てること!! ついに、再建計画が本格始動よ!!
─
「よーし! 今日から本気出すわよ!!」
小屋のカウンターをバンッ!と叩く。気合を入れるには、まずは声出し! これ、基本よね。
「…朝っぱらからうるせぇなぁ」
カウンターの隅で尻尾を揺らしながら、気の抜けた声が飛んでくる。
うちの看板竜、ドラコ。 火を吹くよりも泡を吐くのが得意な、のんびり屋の相棒よ。
「何か決まったのか?」
「決まってないわよ、何一つ!」
ドンと胸を張る。物事っていうのは、ノリと勢いが大事なの! まずは景気づけに一杯飲むのが筋でしょ!
私はカウンターの裏から、特製の新作エールを取り出した。
琥珀色の液体をグラスに注ぐと、泡の一粒一粒がきめ細かく立ち上る。弾けるたびに、熟した果実とローストした麦の香ばしさが鼻をくすぐる。香りだけで酔いそうなほど濃厚なのに、どこか瑞々しさを感じさせる絶妙なバランス。
光に透かすと、黄金色に揺らめく液面がまるで夕陽みたいで――もう、飲む前から最高の一杯なのが分かるわ!
「ほらドラコ、これでも飲んでシャキッとしなさい!」
鼻をひくひくさせながら、ドラコがグラスを手に取る。
――そして、ゴクリ。
「……おお、意外とイケるじゃねぇか」
喉を鳴らす音が、静かな店内に響く。
グラスを置いたドラコが、満足そうに尻尾を揺らした。
「で? 今日の作戦は?」
「決まってるでしょ? 資金提供者を捕まえるのよ!!」
私は勢いよくグラスを掲げる。
借金ゼロからの酒場再建は難しい。でも、酔いどれ小屋の人気と、私の商才(!)を武器にすれば、出資してくれる人を見つけるのは不可能じゃない!
そう、ここからが正念場。
でも、その前に――
「もう一杯飲んで景気づけしなくちゃ!」
私は再びグラスを手に取――
「ちょっと待ちなさい、リリィ」
ピシャリ!
カウンターの向こうから、冷静な声が飛んできた。
ジーナ・ロスティア。
私の酒の仕入れを担当する商人であり、ツンツンしつつも何だかんだで力になってくれる頼れる相棒。
「これから資金を集めに行くんでしょう? まともに交渉したいなら、空きっ腹に酒は厳禁よ。」
「えぇ~? ちょっとくらい良いじゃない、気合い入れるためにも!」
「…バカね」
ジーナはため息をつきながら、私を鋭く見据える。手元には、投資に乗りそうな商人たちのリスト。しっかり準備してるのはさすがね!
「私はあんたのために動いてるんじゃないわよ。酔いどれ亭が繁盛すれば、私の商売も潤う。 それだけの話よ」
「ふふっ、相変わらず素直じゃないわねぇ」
「…うるさいわね! さぁ、行くわよ! 大勝負の始まりよ!!」
ジーナがリストを片手に立ち上がる。
その表情には、どこか期待の色が滲んでいた。
「ふふ、任せなさい!」
私はバンッとカウンターを叩き、勢いよく外へ飛び出す!
「酔いどれ亭」再建のために――最高の酒と仲間が集まる場所を、絶対に取り戻すんだから!!
ページを下にスクロールしていただくと、広告の下に【★★★★★】の評価ボタンがあります。もし「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、評価をいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
@chocola_carlyle




