第47話 誇りをかけて大勝負!
まだ朝の準備も終わらないうちに、町長からの急ぎの呼び出し。こんなの嫌な予感しかしない。しかも、呼び出された先が町長の屋敷っていうのがまた不穏で、気分はどんより。けれど、仕方ないから「酔いどれ小屋」を後にして向かうことに。
町長の屋敷に到着すると、先日見た謎の老人がそこに――町長だったってことが今まさに判明したんだけど――さらにその隣には、酒ギルドのバレルが仁王立ちで待ち構えてた。なんなの、この緊迫感。朝から重すぎでしょ!
「来たな、エルフの姉ちゃん。」
バレルが私に不敵な笑みを向ける。いや、その余裕、今だけだからね?
「どういうつもりですか、町長?」
老人、いや町長に直球で問い詰めると、落ち着いた声で返事が返ってきた。
「リリィ、酒ギルドから君の仮店舗を営業停止にするよう求める進言が届いている。」
……ほら、嫌な予感的中。
「ちょっと待ってください! それってどういう理屈ですか!?」
思わず声を荒げると、バレルが口を挟んでくる。
「仮店舗とはいえ、君の店は酒ギルドの規定に反している。それに、狭いスペースで営業を続けるのは、この町の景観を損ねる可能性もある。」
「景観!? そんな言いがかりが通るとでも?」
もう我慢の限界! だけど、町長が片手を挙げて場を収めた。
「待ちなさい、二人とも。」
私とバレルの言い合いを静止し、町長は静かに話し始めた。
「リリィの店が規定に反しているというのも理解できる。だが、彼女の店がこの町にもたらしている活気や人々の笑顔もまた事実だ。」
その言葉に、バレルが口を開きかけたけれど、町長はそれを許さないかのように続けた。
「だからこそ、ここで一つ提案をしよう。リリィと酒ギルドの代表店で酒とつまみを勝負をしてもらう。そして、どちらがこの町にとってふさわしいか、町の人々に判断してもらう。」
……勝負? 酒とつまみで?
バレルの顔がみるみる赤くなっていく。
「町長、それは公平性に欠けます!」
でも町長はきっぱり言い切った。
「公平だよ。ギルドが誇る代表店がエルフの小さな仮店舗に負けるなどありえないと、私は信じているがね。」
バレル、黙る。いやいや、そんなの私にプレッシャーかけないでよ!
結局、勝負は町の広場で行われることに決定。酒ギルドが誇る代表店「アルコールハーヴェスト」と「酔いどれ小屋」の全面対決。仮店舗に戻る途中、バレルが低い声で言い放った。
「覚悟しておけよ、エルフの小娘。お前を叩き潰してやる。」
…なんてわかりやすい悪役。
仮店舗に戻ると、フォルクとジーナが待ってた。
「どうだった?」
フォルクが呑気な声で聞いてくるから、頭を掻きながら答える。
「酒とつまみで勝負することになった。」
その瞬間、ジーナの目がキラリと光った。
「いいじゃない。こうなったら徹底的に準備しましょう。」
酒は「ルナフレア・スピリッツ」
魔法樽を駆使して、冷たいときは柑橘の香りが主体で、温めると深いハーブの香りが立ち上る二面性のあるお酒に仕上げた。青く透き通る液体がグラスの中でゆらめき、見た目も上品。
つまみは「月影ハーブタルト」
クラストにはエルフの森で採取した植物を練り込み、ほんのりとした甘さと香ばしさを加える。蜂蜜でキャラメリゼしたルミナスリーフをトッピングし、仕上げにレモンバームの香りで爽やかさをプラス。これなら絶対に負けない!
夕方、広場には人々が集まり始めた。私の心臓はバクバクで、何度も深呼吸を繰り返す。
「リリィ、気張りすぎんなよ。」
フォルクが拳を突き出してきた。
「ありがとう。絶対に勝つわ!」
私は彼と拳を合わせて、覚悟を決めた。酔いどれ小屋の力、全力で見せつけてやるんだから!
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