第46話 新たな騒動!肉と酒の爆宴!!
バァァァンッ!!!!!!!
扉が吹っ飛ぶ勢いで開いた。
ちょっと待って、吹っ飛んだ!?
店の暖簾がバタバタと揺れるなか、筋肉隆々の男がズカズカと入ってきた。その肩には、まるで岩のような巨大な肉塊。
「リリィ!! さぁ、今日の獲物に合う酒を用意してくれ!!!」
ドンッ!!!
カウンターにドンッ!!と置かれたのは、まさかの巨大な骨付き肉。
…いや、デカすぎでしょ!? これもう家具じゃん!? テーブルとして使えそうなサイズ感なんだけど!?
ただでさえ酔いどれ小屋になって狭くなった店内が、さらに圧迫感マシマシ!!
私はカウンター越しに腕を組み、じと~っとベルゴを睨みつける。
「……ねぇ、ベルゴ?」
「ん? なんだ?」
「なんでうちのカウンターに、巨大な骨付き肉がドンッと置かれてるのかしら?」
ベルゴはドヤ顔で腕を組み、キラッと白い歯を光らせた。
「へへっ、こいつはワイルドマンモス!焼いて食うぞ!!リリィ、これに合うお前の最高の酒を出してくれ!!!」
「…はぁ?」
思わず目をこする。いや、見間違いじゃない。そこにあるのは確かに、とんでもなくデカい肉の塊。
「ベルゴ、あんた何考えてんの? ここは植物系おつまみ専門の酒場よ! 肉料理なんて出したことないわよ!!」
ベルゴは気にした様子もなく、ドン!と拳をカウンターに置いた。
「だったら俺が調理する!!お前は酒を出してくれ!!!」
「…は!? いやいやいや、どう考えてもダメでしょ!?そんなバカでかい肉、どこで焼くつもりよ!!」
「そのへんは心配すんな!!俺がなんとかする!!」
客たちはワクワクした顔でこちらを見つめ、ヒソヒソ囁き合っている。
「おお、これは面白いぞ…!」
「リリィ、逃げられねぇなぁ…!」
……ああ、もう!! なんでこんな流れになってるのよ!!
ベルゴはさらに熱く続ける。
「リリィ、俺はお前の酒が好きなんだ!!だから、この最高の肉に、お前の最高の酒を合わせたい!!追加料金も払う!!だから頼む!!」
「ぐっ…!!」
なんなのよ、この真剣な目!!こんなムキムキな男に、こんな熱意でお願いされると、意地張るのがバカらしくなってくるじゃない!!
私は大きくため息をつき、カウンターをトンッと叩いた。
「…はぁぁ…分かったわよ!!でも、店の備品壊したら倍額請求するからね!!それと後片付けもアンタがやること!!」
ベルゴは満面の笑みで親指を立てた。
「おう!! 任せとけ!!」
ベルゴが両手をかざし――
ズバァァァァン!!!!
「風魔法!!!」
――瞬間、マンモス肉が宙を舞い、華麗にスパスパとスライスされていく!!
「ちょっ、ちょっと待ちなさいってばぁぁぁ!!カウンターの上でやるなぁぁぁ!!!」
しかし、容赦なくベルゴは次の魔法を発動。
ゴォォォォォ!!!
「火魔法!!!」
ジュワァァァァ!!! 店内は一瞬にして香ばしい煙で充満した。
「ちょっ!? 煙がヤバイ!!? これ完全に燻製になるパターンじゃない!!」
「大丈夫だ、オレの鼻が保証する!! 最高にうまそうな匂いだ!!!」
客たちも「おおぉぉ!!」と歓声を上げる。いやいやいや、勝手にバーベキュー始めるな!!
仕方ない。ここは酔いどれ小屋。私がこの場を仕切るしかない!!
「…はぁぁ、もう…こうなったらとことん付き合ってあげるわよ!! 最高の組み合わせを出してあげる!!」
私は酒棚を見上げ、静かにグラスを手に取る。
《ブリザード・バーボン》!!
琥珀色の液体がグラスに流れ込むと、艶やかな輝きが灯る。深く濃厚な香りが立ち上り、まるで熟成された大地の恵みが凝縮されたかのよう。ベースとなるのは樫樽で長年熟成されたバーボン。そのままでも芳醇な甘みとコクを持ち、舌の上で転がせばスモーキーな香りがじんわり広がる。
だが、ここで《ブリザード・ミントリキュール》を加える。
透明な液体が混ざった瞬間、まるで極寒の吹雪が駆け抜けるかのような冷涼な香りが立ち上る。濃厚な甘みの中に突き抜けるような清涼感が生まれ、バーボンの力強さをより一層際立たせる。この一杯はただの酒ではない。猛々しく焼き上げられた肉を、まるで吹雪が包み込むように流し込むための、極上の相棒なのだ。
「マンモス肉なら…これしかないわね!!」
ベルゴはその言葉に反応し、焼き上がったマンモス肉を豪快に持ち上げる。
ジュワァァァァ!!!
滲み出た肉汁が鉄板に落ち、弾けるような音を立てる。
肉の表面は香ばしく焼かれ、黄金色の焼き目がついている。内部にはたっぷりの肉汁が閉じ込められ、ナイフを入れればじゅわっと溢れ出る。その断面はしっとりとした赤身と、ほどよく絡む脂の白が織りなす芸術品だ。噛みしめれば、ワイルドな旨味が爆発する。だが、それだけではない。この肉には、特殊な調理が施されている。
塩とブラックペッパー、そこに香るのは《極楽スパイスブレンド》。
異国から取り寄せた特製のスパイスが、肉の旨味を極限まで引き出し、舌の上で芳醇な香りを広げる。程よい刺激が口の中にじわりと広がり、食欲をさらに掻き立てる。
ベルゴは目を輝かせながら、肉をナイフでざっくりと切り分け、口へと運ぶ!!
「ゴクリ…!! くぅぅぅぅぅぅ!!!これだぁぁぁ!! 最高の肉と最高の酒!!! これを求めてたんだぁぁぁ!!!」
直後、彼は勢いよく《ブリザード・バーボン》を煽る!!
冷たいミントの清涼感と、バーボンの濃厚なコクが、燃え盛るようなマンモス肉の余韻を一気に流し込む!! 熱と冷、甘みと刺激、力強さと爽やかさ――すべてが渾然一体となり、口の中で究極の晩酌が完成する!!
「くぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
その表情はまるで天を仰ぐかのような陶酔感に満ちている!!
客たちも「おお!! これはすげぇ!!」「酔いどれ小屋、いつから焼肉屋になったんだ?」と大盛り上がり。
私はため息をつきながら、エプロンの端を引っ張る。
「…はぁぁ…もう好きにしてちょうだい…!」
だが、ベルゴはすでに次の肉を焼く準備をしていた。
「リリィ!! 明日はもっとヤバい肉を持ってくるからな!!!」
「いや、持ってこなくていいからぁぁぁ!!!!!うちは植物系おつまみ専門なのーーー!!!!」
こうして、酔いどれ小屋はまたひとつ、新たな騒動を迎えたのだった。
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