第42話 雷鳴轟く!大賢者の魔酒
バァァァァン!!!
扉が派手に開く音――いや、もうほぼ爆発音――が響き渡る。
(……またか!! いや、またアイツか!!!)
銀髪と立派なひげをたなびかせた伝説の大賢者、マーリン・エバーソーンが、毎度のように酔いどれ亭の扉を開け放った。
「はぁぁぁ…今日もまた大騒ぎになりそうね…」
私はため息をつきながら、カウンターを拭く手を止める。
「リリィよ!!今宵は特に、強烈な刺激を求めているのだ!!!」
マーリンは悠然とカウンターに腰を下ろし、私をじっと見つめる。
「分かってるわよ…マーリンのことだから、また何かやらかす気でしょ?」
「ふっふっふ……さて、今日はどんな酒がある?」
私は意気揚々とグラスを取り出し、誇らしげにボトルを掲げる。
「サンダークラッシュ・ルム!!」
「これは嵐の夜に蒸留された、極上のスパイスラム!! 口に含めば電撃が走るような刺激と、深いバニラの香りが広がる一杯よ!!」
「ほう…なかなか面白いではないか。」
マーリンは興味津々にグラスを受け取り、一口。
ゴクリ……
「…うむ、悪くない。」
「でしょ!?これは電撃の刺激と甘美な余韻を楽しむラムカクテルよ!!」
「…だが、刺激が足りんな。」
「はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
バチバチバチッ!!!
マーリンが杖を掲げると、グラスに向かって雷が炸裂!!
「ちょ、ちょっと待って、マーリン!!!!!」
雷が一閃した瞬間、ラムの表面に淡い青い稲妻が踊る。
「これぞ…『雷帝の祝杯』!!」
「祝杯のレベルが高すぎるわよ!!!!」
店内が騒然となる。
「お、おい…なんかスゲェのができたぞ…?」
「雷が宿ったラム……飲んでみてぇ!!!」
「賢者の魔酒、ここに極まれり……!!!」
マーリンは堂々とグラスを掲げると、ゆっくりと口へ運ぶ。
ゴクリ……
「…ほほう!! これは…実に素晴らしい!!!」
「ちょっと、ちょっと!! 私のカクテルを勝手に改造しないでよ!!!」
「ふむ、ではリリィよ。試してみるか?」
「…くっ!!!」
私は悔しさを押し殺しながら、マーリンの作った「雷帝の祝杯」に手を伸ばした。
(こ、これは…負けられない!!)
ゴクリ……
「…っ!? す、すごい…!!」
口に含んだ瞬間、ラムのスパイスの熱さが舌の上で弾け、雷の刺激がまるで鼓動と共鳴するように身体中に走る!!
「…なにこれ…!!めちゃくちゃ美味しい!!!!」
「はっはっは!!どうだ、リリィよ!!魔法の可能性を感じるであろう!!」
「くぅぅぅぅ…!!!でも、でも…負けるわけにはいかないわ!!!」
私はカウンターの奥へ猛ダッシュし、次なる勝負の一杯を作り始める。
「よーし…こうなったら、雷に対抗する“嵐”のカクテルよ!!!」
「テンペスト・グロッグ!!
これは、古代海賊が嵐の夜に飲んだと言われる“嵐を呼ぶ酒”!!」
まず、『ディープシー・ラム』をベースに使用。海の深みを感じさせる塩味の効いたダークラムだ。
そこへ、『ワイルドハニー・リカー』を加え、荒々しさの中にほんのり甘みをプラスする。
さらに、特製の『ストームジンジャーシロップ』を投入!!雷雲のように広がるスパイシーな香りが、まるで嵐の前兆のように鼻をくすぐる!!
「仕上げに…コレよ!!!」
私は、秘密兵器――『テンペスト・クラウド・エキス』を取り出した。
「こ、これは…!?」
「このエキスを入れると、飲んだ瞬間、口の中で嵐のような泡が弾けるのよ!!!」
私はドヤ顔でグラスを掲げ、マーリンを睨む。
「さぁ、大賢者!!あなたの雷か、私の嵐か、どっちが酒場の頂点を取るか勝負よ!!!!」
店内の客が沸き立つ。
「うおおお!! リリィVSマーリン、最強の酒決戦だ!!!」
「どっちもヤバい……どっちを飲むべきだ!?」
「いや、どっちも飲むしかねぇだろ!!!」
マーリンは静かにグラスを持ち上げ、対する私も「テンペスト・グロッグ」を構える。
「では…一口、いただこう。」
「えぇ、存分に味わってちょうだい!!」
ゴクリ……
バチバチバチバチッ!!!
マーリンのカクテルから雷がほとばしる!!
ゴゴゴゴゴッ!!!!
私のカクテルから嵐のような泡が爆発する!!
「…っ!!!!」
「…っ!!!!」
勝負は――――引き分け!!!!
「どっちもヤバすぎる味わいだぁぁぁぁぁ!!!!!」
店内は大歓声。
「雷も嵐も最高!!!」
「こんなカクテル、今まで飲んだことねぇ!!!」
「結局……両方飲むしかねぇな!!!!」
私は勝ち誇ったようにマーリンを見上げる。
「どう? これが私の“嵐”よ!!!」
マーリンはゆっくりと笑い、グラスを掲げた。
「うむ…よくやった、リリィ。ならば、今夜は互いの健闘を称えよう!!」
「ふんっ!! まぁ、負けてないならいいわ!!!」
「では、酔いどれ亭の繁栄に――乾杯!!」
「乾杯~~!!!」
店内に響くグラスの音。
こうして、今日も酔いどれ亭は最高の夜を迎えたのだった。
─
「あの賢者が放ったのは…紛れもなく雷の初級魔法。」
影の奥で低い声が囁かれる。
「だが、内包された威力は…一般の魔法使いの上級魔法にも匹敵する。賢者が本気で上級魔法を放てば…伝説の特級にまで至るやもしれん。」
冷たい沈黙が場を支配する。
「間違っても、敵に回すわけにはいかんな…。」
誰かが深く息を吐く。
「だが、あれほどの力…その源が何なのか、気にはなるな。」
「…いずれ、調べる必要があるだろう。」
影は静かに揺れ、再び闇へと溶け込んでいった。
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