表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第二杯 酔いどれ小屋、開店!
88/144

第42話 雷鳴轟く!大賢者の魔酒

 バァァァァン!!!

 扉が派手に開く音――いや、もうほぼ爆発音――が響き渡る。


(……またか!! いや、またアイツか!!!)


 銀髪と立派なひげをたなびかせた伝説の大賢者、マーリン・エバーソーンが、毎度のように酔いどれ亭の扉を開け放った。


「はぁぁぁ…今日もまた大騒ぎになりそうね…」


 私はため息をつきながら、カウンターを拭く手を止める。


「リリィよ!!今宵は特に、強烈な刺激を求めているのだ!!!」


 マーリンは悠然とカウンターに腰を下ろし、私をじっと見つめる。


「分かってるわよ…マーリンのことだから、また何かやらかす気でしょ?」

「ふっふっふ……さて、今日はどんな酒がある?」


 私は意気揚々とグラスを取り出し、誇らしげにボトルを掲げる。


「サンダークラッシュ・ルム!!」

「これは嵐の夜に蒸留された、極上のスパイスラム!! 口に含めば電撃が走るような刺激と、深いバニラの香りが広がる一杯よ!!」

「ほう…なかなか面白いではないか。」


 マーリンは興味津々にグラスを受け取り、一口。


 ゴクリ……


「…うむ、悪くない。」

「でしょ!?これは電撃の刺激と甘美な余韻を楽しむラムカクテルよ!!」

「…だが、刺激が足りんな。」

「はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」


 バチバチバチッ!!!

 マーリンが杖を掲げると、グラスに向かって雷が炸裂!!


「ちょ、ちょっと待って、マーリン!!!!!」


 雷が一閃した瞬間、ラムの表面に淡い青い稲妻が踊る。


「これぞ…『雷帝の祝杯』!!」

「祝杯のレベルが高すぎるわよ!!!!」


 店内が騒然となる。


「お、おい…なんかスゲェのができたぞ…?」

「雷が宿ったラム……飲んでみてぇ!!!」

「賢者の魔酒、ここに極まれり……!!!」


 マーリンは堂々とグラスを掲げると、ゆっくりと口へ運ぶ。

 ゴクリ……


「…ほほう!! これは…実に素晴らしい!!!」

「ちょっと、ちょっと!! 私のカクテルを勝手に改造しないでよ!!!」

「ふむ、ではリリィよ。試してみるか?」

「…くっ!!!」


 私は悔しさを押し殺しながら、マーリンの作った「雷帝の祝杯」に手を伸ばした。


(こ、これは…負けられない!!)


 ゴクリ……


「…っ!? す、すごい…!!」


 口に含んだ瞬間、ラムのスパイスの熱さが舌の上で弾け、雷の刺激がまるで鼓動と共鳴するように身体中に走る!!


「…なにこれ…!!めちゃくちゃ美味しい!!!!」

「はっはっは!!どうだ、リリィよ!!魔法の可能性を感じるであろう!!」

「くぅぅぅぅ…!!!でも、でも…負けるわけにはいかないわ!!!」


 私はカウンターの奥へ猛ダッシュし、次なる勝負の一杯を作り始める。


「よーし…こうなったら、雷に対抗する“嵐”のカクテルよ!!!」


「テンペスト・グロッグ!!

 これは、古代海賊が嵐の夜に飲んだと言われる“嵐を呼ぶ酒”!!」


 まず、『ディープシー・ラム』をベースに使用。海の深みを感じさせる塩味の効いたダークラムだ。


 そこへ、『ワイルドハニー・リカー』を加え、荒々しさの中にほんのり甘みをプラスする。


 さらに、特製の『ストームジンジャーシロップ』を投入!!雷雲のように広がるスパイシーな香りが、まるで嵐の前兆のように鼻をくすぐる!!


「仕上げに…コレよ!!!」


 私は、秘密兵器――『テンペスト・クラウド・エキス』を取り出した。


「こ、これは…!?」

「このエキスを入れると、飲んだ瞬間、口の中で嵐のような泡が弾けるのよ!!!」


 私はドヤ顔でグラスを掲げ、マーリンを睨む。


「さぁ、大賢者!!あなたの雷か、私の嵐か、どっちが酒場の頂点を取るか勝負よ!!!!」


 店内の客が沸き立つ。


「うおおお!! リリィVSマーリン、最強の酒決戦だ!!!」

「どっちもヤバい……どっちを飲むべきだ!?」

「いや、どっちも飲むしかねぇだろ!!!」


 マーリンは静かにグラスを持ち上げ、対する私も「テンペスト・グロッグ」を構える。


「では…一口、いただこう。」

「えぇ、存分に味わってちょうだい!!」


 ゴクリ……


 バチバチバチバチッ!!!

 マーリンのカクテルから雷がほとばしる!!


 ゴゴゴゴゴッ!!!!

 私のカクテルから嵐のような泡が爆発する!!


「…っ!!!!」

「…っ!!!!」


 勝負は――――引き分け!!!!


「どっちもヤバすぎる味わいだぁぁぁぁぁ!!!!!」


 店内は大歓声。


「雷も嵐も最高!!!」

「こんなカクテル、今まで飲んだことねぇ!!!」

「結局……両方飲むしかねぇな!!!!」


 私は勝ち誇ったようにマーリンを見上げる。


「どう? これが私の“嵐”よ!!!」


 マーリンはゆっくりと笑い、グラスを掲げた。


「うむ…よくやった、リリィ。ならば、今夜は互いの健闘を称えよう!!」

「ふんっ!! まぁ、負けてないならいいわ!!!」

「では、酔いどれ亭の繁栄に――乾杯!!」

「乾杯~~!!!」


 店内に響くグラスの音。

 こうして、今日も酔いどれ亭は最高の夜を迎えたのだった。


 ─


「あの賢者が放ったのは…紛れもなく雷の初級魔法。」


 影の奥で低い声が囁かれる。


「だが、内包された威力は…一般の魔法使いの上級魔法にも匹敵する。賢者が本気で上級魔法を放てば…伝説の特級にまで至るやもしれん。」


 冷たい沈黙が場を支配する。

「間違っても、敵に回すわけにはいかんな…。」


 誰かが深く息を吐く。

「だが、あれほどの力…その源が何なのか、気にはなるな。」

「…いずれ、調べる必要があるだろう。」


 影は静かに揺れ、再び闇へと溶け込んでいった。

ページを下にスクロールしていただくと、広告の下に【★★★★★】の評価ボタンがあります。もし「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、評価をいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


@chocola_carlyle

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ