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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第二杯 酔いどれ小屋、開店!
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第38話 静寂の夜に響け歌声!

「うるさいですって?」


 私はカウンター越しに苦情の手紙を見つめた。


『深夜の騒音により、安眠を妨害されています。』


「今さら何よ!酒場は夜通し酒を楽しむところでしょう?」

「そうだよなぁ…しかも、近くに住んでる奴なんていないはずだろ?」


 フォルクがジョッキを片手に首をかしげる。


「これはきっと、酒ギルドの仕掛けた嫌がらせね」

 ジーナが腕を組む。


「つまり、うちの夜の営業を邪魔しようって魂胆か!」 「いいわね…なら、もっと夜を楽しむ空間にしてやるわ!」


 私はニヤリと笑い、店の外へ飛び出した。

 さっそく準備開始!


 私は風魔法を使って「静音の結界」を展開。店を包み込むように風を張り、音が外に漏れないようにする。


「おぉ、すげぇ!」

 フォルクが外で試しに叫ぶが、まったく響かない。


「これで苦情は解決ね!」

 ジーナが満足そうに頷く。


 さらに、水魔法を使って空気に湿度を与え、音の反響を抑える。すると、店の中にいる人だけがしっかりと声を楽しめる最高の空間が完成!


「つまり、歌い放題ってことね!」

 私はニヤリと笑い、カウンターの上に飛び乗る。


「さぁ、みんな! 今夜は深夜の大合唱祭りよ!」

「カンパーイ!!!」


 酒場は一気に盛り上がった。


「おぉーい! 俺のバラードを聞けぇぇ!」

「いやいや、俺は酔いどれ小屋の応援ソングを作ってきたぜ!」


 誰もが思い思いに歌い始め、酔いどれ小屋はまるで『音楽酒場』に変貌!フォルクはジョッキ片手に陽気な飲み歌を、ジーナは珍しくノリノリで手拍子を。ドラコは泡でリズムを作り出す。


「なんて自由な店なのよ…」

 ジーナがため息をつくが、口元は笑っている。


「そんな熱い夜には、こんな一杯を用意したわ!」

 私はカウンターの上で、新作カクテル 《ノクターン・ナイトカクテル》 を掲げた。


 グラスの中では、闇夜のような濃紺の液体がゆっくりと揺れ、表面には金粉のような輝きがちらつく。魔法で仕込んだ炭酸が細かく弾け、まるで夜空に星がきらめいているよう。


「ベースは《影月のダークラム》、そこに《ブルームーンリキュール》と《スパイスドワイン》をブレンド。仕上げに微量のマナクリスタルを浮かせて、夜の魔法をかけたわ!」


「おぉぉ!! こりゃあまるで、夜の音楽を飲んでるみたいだ!」

「甘くて深みのある味わいね…」


 冒険者たちは次々にカクテルを口にし、歌声に一層力が入る。


「ならば、俺の最高の歌を聞けぇぇぇ!!」

 フォルクが立ち上がり、ドラコが泡を伴奏にして、誰もが夜の祭りを楽しんだ。


 そして翌朝――


 酒ギルドのスパイらしき人物が、こっそりと酔いどれ小屋の外を確認しにきた。


「昨夜はまた騒いでたはずなのに、まったく音が漏れていなかった…だと?」

「つまり苦情はもう意味がないってことね!」


 私はカウンターでグラスを磨きながら、不敵に微笑んだ。


「そもそも、楽しく飲むのがうちのモットーよ。」


 こうして、酔いどれ小屋は『騒ぎ放題の静寂空間』を作り上げ、酒ギルドの嫌がらせを見事に跳ね返したのだった。


 ─


 朝日が街を照らし始める中、長く伸びる影の中で低い声が囁かれる。


「あのエルフ…元オリハルコン級というだけあって、魔法の腕も厄介だな。」

「すでに土・水・風は確認済みだ。上級を難なく扱えると見て間違いないだろう。」

「となれば…こちらが対抗できる手段も限られるか…」


 短い沈黙の後、鋭い指示が落とされる。

「戦略設計部隊に急ぎ連絡を。」


「はっ!」

 影たちは、朝の喧騒に紛れるように音もなく消えていった。

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@chocola_carlyle

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