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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第二杯 酔いどれ小屋、開店!
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第18話 最高の仕入れルート、確保!

 朝、エルフの里の門をくぐった瞬間、懐かしい木々の香りが鼻をくすぐった。でも、今回の私は感傷に浸るために帰ってきたわけじゃない。


「お前が帰るのは何年ぶりだ?」

 隣を歩くリーヴァンが、呆れ顔で問いかける。


「さぁ? 十年? 二十年? ほら、あたしって自由に生きるのがモットーだから!」

「…そういうところが問題なのだがな」


 この里を出てから、ずいぶん経った。酒を求めて、好き勝手に生きて、そして今、人間の世界で酔いどれ小屋を切り盛りしている。だけど――。


「今回の目的は分かっているな?」

 リーヴァンが立ち止まり、鋭い目で私を見る。


「もちろん。エルフの秘蔵酒を仕入れるためよ!」

「…交渉は簡単ではないぞ」

「大丈夫、あたしには"最高の武器"があるもの」


 私はカウンターに立つときと同じように、胸を張って笑った。


 里の中心にある石造りの会議場。エルフの長老たちが円卓を囲み、静かに私を見つめていた。


「…リリィか」


 最奥の席に座る長老が目を開け、低く響く声で言う。


「お久しぶりね、長老たち。今日はちょっと頼みごとがあってね」

「ふむ…リーヴァンに頼まれて帰ってきたと聞いているが、人間の酒場で商いをしているお前に、里の大切な酒を分ける理由はない」

「そうだ、エルフの酒は我らが誇り。それを外の世界で勝手に売るなど…」

「…お前のように里を捨てた者が、今さら何を言う」


 予想していた言葉が返ってくる。でも、ここで引き下がるわけにはいかない。


「エルフの誇り? 伝統? それは分かるわ。でもね…あたしがやってるのは、ただの商売じゃない!」


 私は勢いよく拳をテーブルに叩きつけた。

「人間だろうがエルフだろうが、美味い酒は幸せを運ぶのよ!」


 長老たちは訝しげに私を見つめる。


「だから、一度うちの酒場の味を知ってほしいの。エルフの酒を人間にどう届けるのか、その意味を!」


 そう言って、私は持参した酒樽を開ける。


 エルフの秘伝の《フォレスト・アンバー》をベースにした『エルフの森の祝福』。

 数百年熟成された琥珀色の液体は、口に含んだ瞬間、森の息吹を感じるような深い香りを広げる。


 そこに、妖精の涙とも呼ばれる《ルミナス・ハニー》をひとさじ加えることで、ほんのり甘い余韻を持たせる。そして最後に、エルフの里にのみ咲く《ミスティック・フラワー》の花弁を浮かべることで、見た目にも幻想的な一杯に仕上げた。


 グラスに注がれた瞬間、会議場に芳醇な香りが満ちる。

「…飲んでみてよ。これが、人間の世界で愛されるエルフの酒よ」


 長老たちは一瞬ためらったが、リーヴァンが先にグラスを取った。

「…では、私がまず」


 リーヴァンがゆっくりと口に含む。すると――

「…ふむ、やはりこれは…」


「どうだ?」

「…最高だ」


 長老たちは顔を見合わせる。


「む…どれ、私も」


 一人の長老が恐る恐るグラスを手に取り、一口。


「…っ!? こ、これは…!」

「この香り…森の息吹を閉じ込めたかのような…!」

「なのに、後味が軽やかで…甘さがじんわり広がる…」

「なるほど……確かにこれなら、エルフの酒の誇りを損なわずに人間にも伝えられるかもしれん」


 長老たちは徐々に表情を緩め、酒の味に納得し始めていた。


「ふふっ、でしょ? ねぇ、わかってくれた?」


 長老たちは少し考え込み――やがて、一番奥に座る長老が静かに頷いた。


「…よかろう。リーヴァンが責任を持って監督することを条件に、酔いどれ小屋への酒の供給を許可する」


「やった!!」

 私は思わずガッツポーズ!


「ただし、里の誇りを決して忘れるなよ。お前がやっていることは、我々の名誉にも関わる」


「もちろんよ! ありがとう、おじいちゃんたち!」

「おじ…っ!?」


 長老たちの表情が一瞬険しくなったが、そこはスルーして私はリーヴァンの方を向く。


「よし、これで最高の仕入れルートができたわね!」

「…まぁ、こんな形になるとは思わなかったがな」

 リーヴァンは苦笑しながら、再びグラスを傾けた。


 こうして、酔いどれ小屋はエルフの秘蔵酒を仕入れることに成功し、酒ギルドの圧力に対抗する最強の武器を手に入れたのだった!!

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@chocola_carlyle

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