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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第二杯 酔いどれ小屋、開店!
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第16話 スライムに飲まれるな!

 酔いどれ亭の灯りがゆらりと揺れる。カウンターの奥で、新作カクテルの試作に没頭していた私は、そろそろ仕上げに入ろうかと考えていた。

「今日はどんな一杯にしようかしらねぇ…」なんて思っていた、その瞬間――


 バシュン!!!!

「ぎゃああああああ!!!!!」


 突然、紫色の魔法陣が床に浮かび上がり、ボロボロの鎧をまとった冒険者が吹っ飛んできた。


 ドゴォッ!!!

 カウンターの手前で華麗に転がるその姿。お馴染みのスライムバカ。


「いってぇぇぇ…!くそっ、死ぬかと思った…」

「あーはいはい、またアンタね」

 私はカクテルの材料を片付けながら、流し目で確認する。

「で?今度は何とやりあってたわけ?」

「…ヒュージスライムだ」


 はい、またスライム。

 もう誰も驚かない。私も、フォルクも、ドラコも。


「おいおい、またかよ」

 カウンターの上でくつろいでいたドラコが、しっぽでグラスをつつきながらため息をつく。

「お前、本っ当にスライムしか狙わねぇよな?」

「当たり前だろ!!俺の目標は世界中のスライムを狩り尽くすことだ!!」

「はいはい、スライムバカのご帰還ね~」

 私は氷をカラカラと鳴らしながら、何の感情も込めずに言った。

「で、今回は…勝てなかったってわけ?」


「…負けてねぇ!!ただちょっと予想外だっただけだ!!」


「へぇ、何が予想外だったんだ?」

 フォルクが椅子にどっしりと腰掛けながら興味深そうに聞く。


「ヒュージスライム…デカすぎるんだよ!!!」

「名前に"ヒュージ"ってついてる時点で気づきなさいよ!!!」


 私は即座にツッコんだ。


「いや、違うんだ!!俺の情報だと"大人一人分くらい"だって聞いてたのに…いざ行ってみたら…大人五人分の高さだったんだ!!!」

「それもうスライムっていうか壁でしょ!!?」

「俺だってそう思った!!で、いざ戦ってみたら……」

「戦ってみたら?」

「……一撃で飲み込まれた。」


「はぁ!?!?!?」

「で、どうやって戻ってきたんだ?」

 フォルクが呆れつつも興味津々な顔で尋ねる。


「…俺の持ってた火炎瓶が腹の中で炸裂して、その隙に飛び出してきた」

「ねぇ、それもうスライムじゃなくてダンジョンボス討伐の話よね???」


 私は頭を抱えた。


「結局、逃げてきたってことね」

「違う!!俺は戦略的撤退だ!!一度立て直して、今度こそ決着をつける!!」


 フォルクが肩をすくめながら、グラスの水をくいっと飲む。

「で?お前のいつものセリフは?」

「…とりあえず酒!!!」


「だから飲むなぁぁぁぁぁ!!!!」

 私はカウンターをバン!!と叩く。


「いや、これが俺のルーティンなんだよ!!戦いに負けたら酒で気合を入れ直す!!」


「そんなんじゃスライムハンターじゃなくて、ただの"酔いどれハンター"よ!!!」

「いいじゃねぇか!俺は戦い続ける男なんだ!!」

「はいはい、ぴったりな一杯を作ってあげるわ」

「お!?なんかすげぇの来る予感!!!」


 私はため息をつきつつ、貯蔵庫へと向かい、厳選した素材を取り出した。


 まずは、氷の精霊が宿るクリスタルウォーター。

 ひんやりとした清涼感とほのかな甘みが特徴。


 次に、妖精樹の果実ブルームベリーのエキス。

 酸味のある青い果実で、フルーティな香りがプラスされる。


 そして、魔法植物スライムグラス。この不思議な植物のエキスは液体に混ぜるとゼリー状になり、ぷるぷると揺れる特性を持っている。


「こいつをしっかり冷やして…」


 カクテルグラスの中で、水色の透明なゼリーがぷるんと揺れる。

 仕上げに魔氷の粉を振りかけ、ほのかなミントの香りを添えた。


「さぁ!スライムに負けないくらい弾力のある一杯よ!!!」

「うおおおおお!!!なんだこれ!?プルプルしてやがる!!」

「まるでスライムみたいな見た目なのに、すっげぇ綺麗だな……!」


 フォルクとドラコが感嘆の声を上げる。


「ふっ、これはまさしくスライムブレイカー!!!」


 スライムバカがスプーンですくい、一口食べる。冷涼な甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、ゼリーが舌の上でなめらかに溶けていく。ひんやりとした爽快感とフルーティな余韻が絡み合い、飲んだ瞬間、体の疲れがスッと抜けるような感覚が広がる。


「…うっっっっっま!!!!これ、まじでヤバい!!!!」

「ほらね?スライムに負けたやつでも、これ飲めば気分は勝者よ!!!」

「よーーし!!!これ飲んだら、絶対にあのヒュージスライムをぶっ倒してやる!!!」


 スライムバカは勢いよくゼリーをすくい、食べ尽くす。


「…まぁ、どうせまた逃げ帰ってくる気がするけどな」

 ドラコがニヤリと笑った。


「そのときはまたスライムブレイカーをご馳走してあげるわよ!」


 こうして、スライムに敗北した冒険者たちのための新たな名物カクテルが誕生したのだった。次回、スライムバカはヒュージスライムに勝てるのか!?それともまた逃げ帰ってくるのか!?(どうせ帰ってくる)

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@chocola_carlyle

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