第10話 自給自足の大冒険!
市場の真ん中で、私は拳を握りしめた。朝一で意気揚々とやってきたというのに、いつも使っている素材が軒並み消えている。スカイリーフも、グリーンシードも、一片も見当たらない。これは絶対におかしい。
「ちょっと、この前入荷してたスカイリーフとか、どこに行ったの?」
私は市場のおばさんに詰め寄る。彼女は目を泳がせながら、曖昧に肩をすくめた。
「ああ、それね…最近はちょっと調達が難しくて、今はないのよ。」
嘘だ。絶対に嘘。タイミングが良すぎる。
「…酒ギルドの仕業ね!」
私はぎゅっと目を細めた。あいつらが私の店にプレッシャーをかけているのは分かりきっている。
でも、こんなことで負ける私じゃない。
「いいわ、なら自分で調達するまでよ! 元オリハルコンクラスの冒険者をナメないでほしいわね。」
店に戻るなり、営業日の看板を裏返し、「お休み」に変更した。そして、カウンターでうとうとしていたドラコを叩き起こす。
「ドラコ、店の留守をお願いね。」
「俺にそんな大役頼むのかよ。もし酒樽が爆発したらどうすんだ?」
「それ以上壊れるものなんてないでしょ! とにかく見張りよろしく!」
ドラコの愚痴を背中で聞き流しながら、私は久々にギルドを訪れた。常連のフォルクはあれでもゴールドランクの冒険者。きっとここにいるだろうと思ったのだ。
「リリィ! 何の用だ?」
鍛え抜かれた腕を組んで笑うフォルクは、相変わらず頼りになりそうだ。
「手伝ってほしいの。素材が手に入らないから、自分で取りに行くしかなくて!」
状況を説明すると、フォルクの目がキラリと輝いた。
「お前との冒険はいつだって面白いからな!どこにでもついていってやらあ! 久々に腕が鳴るぜ。それで、どこに行くんだ?」
「新しいおつまみのために、『マンドラゴラ』を採りに行くわよ。」
「マンドラゴラだって!? 魔植物だぞ! お前、正気かよ?」
フォルクの顔から笑みが消え、驚きと困惑が滲む。
「正気も何も、お客さんに最高のおつまみを出すためにはこれくらいしないと!」
私は胸を張る。こういう時、ためらってる暇なんてないのだ。
フォルクは頭を抱えてため息をつき、やがて笑みを浮かべた。
「本当、お前って奴は尊敬するけど疲れるぜ。まぁ、仕方ねぇ。行くぞ!」
こうして、「冒険者リリィ」としての一日が始まった。険しい森の奥深く、幻の植物「マンドラゴラ」を求めて、私とフォルクの新たな挑戦が始まったのだった――!
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