第41話 酔いどれ亭は闇の酒場!?
店は今夜も大賑わい。陽気な酔っ払いがグラスを掲げ、料理の香ばしい匂いが店内に広がる。ああ、これよ、これ。これこそが私の愛する酔いどれ亭の夜!
…だったのに。
バァァン!!
勢いよく開かれた扉の向こうから、黒いフードを深くかぶった男が堂々と現れた。
「ふっ…久しいな、酔いどれ亭の女主人よ。」
「誰!?!?」
店内が一瞬で静まり返る。全員が一斉に男を凝視する。
「…俺の名は、闇の幹部だ。」
「うさんくさッ!!!」
常連たちが一斉にツッコむ。
「なにそれ!? 名乗る気ゼロじゃない!?」
「幹部って言われても、何の!?」
しかし男は不敵に笑い、ゆっくりとカウンターに近づいてきた。
「フッ…実は俺はこの世界の影を知る者…禁じられた取引、影の市場に流れる幻の酒…そのすべてを把握している。」
「そんなやつが堂々と酒場に来るか!!」
「違うぞ…ここはただの酒場ではない。酒の香りに誘われ、闇の者たちが集う場所…酔いどれ亭は影の酒場なのだ!!」
「勝手に裏社会の拠点みたいにするな!!」
でも、客たちはざわつき始める。
「待てよ、こいつ、詳しすぎないか?」
「影の市場なんて普通のやつは知らない情報のはず…」
「もしかして本物…?」
男は静かにカウンターに座ると、低く告げた。
「…リリィ、俺に影月のナイトエールを頼む。」
「…なによそれ?」
「なに!? 知らないだと!? この世界の裏で流通する禁断の黒ビール……夜の帳が降りると現れる、幻の酒だぞ!」
「知らないわよ!!」
男はがっくりとうなだれ、「まさか、ここには存在しないとは…」とつぶやく。
「いや、アンタが知ってるのがむしろ怖いんだけど!?」
「それに……この店の地下室には、極秘の酒倉庫があると聞いたが?」
「あるわけない!!」
「フッ…嘘をつくな…!」
客たちがどよめく。
「えっ、もしかして地下倉庫、あるのか…?」
「やめて!! そういうのは都市伝説だけにして!!」
しかし男はゆっくりと私を指さし、ニヤリと笑った。
「リリィ…お前も影の一員だったんだな…?」
「違うわよ!!」
店全体が爆笑の渦に包まれる。
「えぇ!? リリィって裏社会のボスだったの!?」
「こんな陽気な店主が!?」
「ふっ…ならばこれはどう説明する?」
男は懐から一枚の紙を取り出し、静かにカウンターに置いた。
「…は?」
そこには本物の裏市場の契約書が記されていた。
「なんでそんなもん持ってんのよ!!?」
「俺は闇の幹部だからな。」
「いや、普通にヤバいやつじゃん!!」
しかし、客たちの視線が変わる。
「…なあ、こいつ、もしかして本物なのか?」
「リリィ…お前、実は本当に裏社会の顔役なんじゃ…」
「違うわよ!!」
男は満足げにグラスを傾ける。
「フッ…まあ、信じるかどうかはお前たち次第だ。」
私はバンッ!!とカウンターを叩いた。
「もういい!! ほら、酒でも飲んで落ち着きなさい!!」
男に夜霧のダークラムを差し出す。琥珀色の液体がグラスの中でゆっくりと揺れ、スパイスの効いた芳醇な香りが立ち上る。ひと口飲めば、ラムのまろやかな甘さとスモーキーな深みが絡み合い、ほのかなバニラの余韻が残る――間違いなく、極上の一杯。
「ほう、これは…?」
「ラム酒よ!! 闇と関係ないやつ!!」
男はゆっくりとグラスを持ち上げ、一口飲むと、満足げに微笑んだ。
「…フッ、いい酒だ。」
「でしょ!! だから普通に酒を楽しめ!!」
――こうして今夜も、酔いどれ亭は謎の黒フードの男のせいでカオスな展開になったのであった。
──
影に潜む者たちは、ざわめきを抑えられなかった。
「まさか…あのお方が、我らが組織の幹部…?」
「誰も正体を知らないと噂の幹部が、まさに目の前に…!」
囁きは次第に静寂へと吸い込まれていく。重く張り詰めた空気の中、影たちはただ身を潜め、目の前の存在を見つめることしかできなかった。
ページを下にスクロールしていただくと、広告の下に【★★★★★】の評価ボタンがあります。もし「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、評価をいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
@chocola_carlyle




