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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第一杯 酔いどれ亭、大騒ぎ!
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第28話 暴走!モチモチの逆襲!

 今日も酔いどれ亭は大忙し!


 私は新作のおつまみ、「ハーブとレモンの風味を練り込んだクラッカー」を仕上げていたところ。ほんのり酸味が鼻をくすぐり、ハーブの香りが口いっぱいに広がる一品。これさえあれば、どんなお酒もさらに引き立つんだから!


「おい、リリィ。そいつ、俺が味見しといてやるぜ?」

 看板ドラゴンのドラコがカウンターに前足を乗せ、じっとクラッカーを狙っている。


「ドラコ、これはお客さん用! あんたには後で、残ったらね。」

「どうせ残らねえだろ?」

「バレた?」


 軽口を叩き合っていると、店の扉が勢いよく開いた。


「リリィ! 今回はとびきりの品を持ってきたぞ!」

 現れたのは黒いスカーフと信用できない笑顔がトレードマークの商人、カシム・スカイシルク。彼が持ち込むものって、珍しいけどトラブルの種なのよね。


「今度は何を売りつけようとしてるの?」

「これだ!」

 得意げに取り出したのは、キラキラと光る金色の粉末が入った小瓶。…いや、怪しい!


「それ何?」

「『ゴーレムイースト』さ!普通のパン種じゃない。魔法で活性化した特別な酵母だ。これを使えば、パンはふんわりモチモチ、しかも絶品になる。リリィの店にピッタリだろう?」

「ゴーレムって…動き出すとかじゃないわよね?」

「まさか!いや、ほとんど動かないよ。ちょっとした生地の動きがあるだけで――」

「ちょっと動くって何よ!?」


 不安は募るけど、「ふんわりモチモチ」という魔法の言葉に惹かれて試してみることに。パン好きには抗えないのよね。


 さっそく、ゴーレムイーストを使ってパン生地を仕込む。小麦粉にハーブを練り込み、ゴーレムイーストを少量加えてこねていると、生地がふんわり膨らみ始める。それどころか、ピョコピョコ動き出した!


「おいおい、リリィ。そのパン、なんか踊ってるぜ?」

「踊ってるなんてもんじゃない、飛び跳ねてる!」


 案の定、生地が暴走。ボウルから飛び出すやいなや、カウンターを転がり回り、調理台のクラッカーの欠片を吸収しながらどんどん膨らんでいく!


「待ちなさい! 生地のくせに勝手に動くんじゃない!」

「リリィ、あいつ喋り出しそうだぞ!」

「ドラコ、あんたも手伝って止めて!」

「おい、俺にパンを捕まえろってか!? 冗談じゃねえ!」


 跳ね回るパン生地は、お客さんたちの足元をも飛び越え、店内は大混乱。


「なんだこれ!?生きてるのか!」

「パンが追いかけてくるぞ!」


 ついにはパン生地がカウンター裏の樽に激突。中のハーブリキュールが流れ出し、生地に染み込むと、芳醇でスパイシーな香りが店中に漂い始めた。…これ、ちょっとおいしそうなんだけど!?


「ほら、捕まえたぞ!」

 ドラコがパン生地をしっぽで押さえ込んでいる。

「やっと捕まえたわ!このまま焼き上げるしかない!」


 そして無事に焼き上がったパンは…ふんわりモチモチで、表面はカリッと黄金色に焼けた見事な仕上がり。焼けた香ばしいハーブとリキュールの香りが、空腹を誘う!


「ふむ、味は悪くなさそうだな。」とドラコが一口かじる。

「おいしいじゃない!」

「ほら見ろ、リリィ。やっぱり俺の品は最高だろう?」とカシムが得意げに言うけど、私はジロリと睨みつける。


「次、こんな危ないもの持ってきたら、ただじゃ済まないわよ!」


 ─


 「ほぉ…暴走するゴーレムを、食材から創り上げるとはな。実に興味深い…」

「だが、これしきの力では我らの手駒としては物足りぬ。」

 闇の中で目を光らせる影たちは、ひそひそと相談を続ける。

「魔法樽の奪取に向け、ゴーレムの可能性も洗い出しておけ。

 より強力な“駒”に仕上がる余地があるやもしれん…」

 かすかな笑い声とともに、今夜も陰謀は深く張り巡らされていく。

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@chocola_carlyle

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