第26話 賢者の魔法酒場!
「いらっしゃいませ~! 酔いどれ亭へようこそ~!」
今日も酔いどれ亭は絶好調!お酒を愛する人々が集うこの場所で、私は エルフの名にかけて最高の一杯 を提供するべく奮闘中よ!そんな私の目の前にいるのは――銀髪と立派な髭をたなびかせた伝説の 大賢者、マーリン・エバーソーン。…今やただの呑兵衛だけどね。
「リリィ、この 『フォレスト・スプラッシュ』、なかなかだな。」
マーリンが目を細めながら、私の新作カクテルを味わっている。
森の果実ジュースとスモークウイスキーを合わせた自信作だから、当然の評価でしょ!
…と思ったら、マーリンが 突然杖を振り出した。
「ちょっと待ってマーリン!何してるのよ!」
「ふむ、少しばかり手を加えるだけだ。」
ふわっと魔法の光がカクテルに降り注ぎ、琥珀色の液体が輝き出す。そして、香りがさらに濃厚に広がった。
「おおっ!」と思わず感嘆したけど、これ、私のカクテルを 勝手にアレンジするなんて!でも気になる…いや、めちゃくちゃ気になる!
恐る恐る一口飲むと――
「なにこれ、すっごい美味しい!!」
果実の甘みがより際立ち、スモークウイスキーの香りが深みを増してる!
でもなんか悔しい!
「マーリン、これズルいわよ!私が作ったお酒なのに!」
「はっはっは、若いなリリィ。酒も人生も、少しの工夫で変わるものだ。」
どや顔で笑うマーリンに ぐぬぬ…でもまた飲みたくなる!そんな中、マーリンの魔法カクテルを味わった常連たちが次々に感想を叫び始めた。
「これ、やばいくらい美味いぞ!」
「賢者の魔法酒って感じだな!」
「マーリン、お前が酒場を開くべきだ!」
…は?
「ちょっと待って、何言ってるの?ここは私の酔いどれ亭よ!」
「いやいや、リリィのカクテルも美味しいけど、マーリンの魔法酒は次元が違うって!」
「賢者酒場、超楽しそう!」
常連たちが盛り上がる中、マーリンはひげを撫でながら にっこり微笑む。
「ふむ、それも悪くないかもしれんな。」
やめて!それ以上はやめて!
でも止める間もなく、常連たちは「賢者酒場で宴会しよう!」と大盛り上がり。
ドラコまで「おい、マーリンの店なら俺も通うぜ」なんて言い出す始末。
私はカウンターで しょんぼり。だって、酔いどれ亭の看板は私のはずなのに…!その時、マーリンがカウンター越しに静かにグラスを置いた。
「リリィよ、落ち込むことはない。」
「…なによ、今さら慰める気?」
マーリンはにこやかに頷くと、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「魔法使いに杖が欠かせないように、お酒にはおつまみも必要。
そして、酒場にはみんなに愛される店主も必要だ。」
「…へ?」
「いくら酒がうまくても、それだけでは店は成り立たん。うまい酒があるだけじゃダメなのだ。うまい酒と、それを届ける者がいてこそ、物事は成せる。この酔いどれ亭こそ、理想の酒場よ。」
私は一瞬、言葉を失った。
「お前の店だからこそ、皆が集うのだ。」
その言葉に、お客さんたちが「そうだ!」と次々に頷く。
「リリィの酒場だからこそ、楽しいんだよな!」
「マーリンの魔法もいいけど、やっぱりリリィがいないと!」
「…まあ、そうよね!」
マーリンはにこりと笑い、グラスを軽く掲げた。
「では、酔いどれ亭の繁栄に――乾杯!」
「乾杯~~!!」
店内に響くグラスの音。
こうして、今日も酔いどれ亭は最高の夜を迎えたのだった。
─
夜の帳に紛れながら、影の一人が酒場を見つめていた。
「だ、大賢者だと…?」
「嘘だろう…なぜあんな場所に…?」
別の影が震える声で答える。
「幹部でも敵うかどうか…一兵卒では到底歯が立たん…。」
影たちは静かに息を呑み、次の一手を決めるように身を寄せ合った。
「…今は退くしかない。」
そう告げると、彼らは音もなく闇へと溶けていった。
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