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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第一杯 酔いどれ亭、大騒ぎ!
24/144

第24話 商才炸裂!トレンド予想!

「リリィ!!ちょっとアンタの意見を聞かせなさい!!!」


 カウンターに肘をついて詰め寄ってくるのは、酒商人ジーナ・ロスティア。

 いつも冷静沈着で数字に強い彼女が、こんなに焦ってるなんて珍しい。


「…なによ、急に?」


「いいから聞きなさいよ!」


 何事かと思って手を止めると、彼女はぐいっと身を乗り出してきた。


「今度、大商会の品評会があるんだけど、どの酒を推すか決められないのよ!」


「へぇ?」


「アンタの店にはいろんな客が集まるでしょ?流行を知るには一番いい場所じゃない!」


「まぁ、確かにそうね。」


 酔いどれ亭は、旅人や冒険者、酒にうるさい連中が集まる。流行を探るには最適な場所だ。


「でも、ジーナが私に頼るなんて珍しいじゃない。いつも数字とデータがすべて!って言ってるのに?」


「データも完璧じゃないのよ!こういうのは現場の声が大事なの!」


 ジーナがぐいっと前のめりになってくる。そこまで必死なら、まあ付き合ってやるか。


「じゃあ、最近の売れ筋を教えてあげるわ。」


 カウンターの奥から、今の人気酒のリストを引っ張り出してくる。


「うちで今よく出てるのは、『霧の森エール』と『紅焔エール』ね。」


「ふむ…特徴は?」


「霧の森エールは、魔法の森で採れる若葉の香りを閉じ込めた淡色エール。ほんのり甘くて軽い飲み口。霧がかった森を歩いてるような爽やかな香りが特徴で、食事と合わせやすいのよ。」


「無難ね。」


「で、紅焔エールは焔果っていう赤い果実を発酵させたエール。飲んだ瞬間、舌がピリッと刺激されて、まるで口の中で火花が散るみたい。辛口で後味はキリッと締まるけど、クセになる刺激でハマる人が多いわね。」


 ジーナは考え込む。


「万人受けするのは霧の森エールかしら。でも、品評会ならちょっと特別感があるほうがいいのよね…」


「その通り!」


 私はニヤリと笑う。


「じゃあ、今売れてるのはどっちだと思う?」

「うーん…爽やかで飲みやすい霧の森エールのほうがウケそうだけど。」

「ブッブー、ハズレ。」

「は?」


 私はカウンターをコツコツと叩く。


「今ね、客の様子を見てると、ただ飲みやすいだけの酒じゃなくて、もっとパンチのある酒を求めてるのよ。」


「そんなもの?」


「そんなものよ。みんなちょっと刺激がほしくなってるの。まろやかなエールより、ガツンとした味が飲みたいって感じね。」


 ジーナがメモをとる手を止めて、じっと私を見た。


「…意外とアンタ、ちゃんと市場読めるのね。」

「失礼ねぇ。」

「いいわ、今回の品評会は紅焔エールでいく。」


 数日後――


「リリィ!!!」


 ジーナが店に飛び込んできた。


「…今度は何よ。」

「あの紅焔エール、大当たりだったわよ!!!」

「おお!?やっぱりね!」

「まさか本当に刺激系が流行るなんて…アンタ、商才あるんじゃない?」

「ふふん、まぁね~。」

「…なんかムカつくわね。」


 調子に乗った私は、ジーナにこう言った。


「じゃあ次は…“超苦い酒”が流行るわ!」

「本当?」

「間違いない!!!」


 ジーナ、またも私の言葉を信じて大量に仕入れる。


 ――結果、大爆死。


「リリィ!!アンタ、どうしてくれるのよ!!」

「え、苦みブーム来ると思ったんだけど?」

「全然売れないわよ!!!」

「でも、ちょっとは売れたんでしょ?」

「…うん、酔いどれ亭で。」

「ほら、うちの客は変わった人が多いから。」

「この店だけで売れても意味がないのよ!!!」


 店の中で怒るジーナ、苦い顔で飲む常連たち――


 こうして、私のトレンド予想は、一度だけ奇跡を起こした。

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@chocola_carlyle

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