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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第一杯 酔いどれ亭、大騒ぎ!
23/144

第23話 マジックおつまみ消失事件!

 今日も酔いどれ亭は大盛況!


 お客さんたちの笑い声に包まれながら、私はカウンターで新作のおつまみ「魔法カボチャのローストシード」を仕上げていた。魔法カボチャの種をじっくりローストし、ハーブソルトとピリッとスパイシーなパプリカパウダーをたっぷりまぶす。カリッと香ばしい食感に、じんわり広がる深い風味。これ、絶対お酒が進むやつ!


「なあリリィ、それはもう俺の腹に収めてもいいだろ?」


 カウンターに前足を乗せて、看板ドラゴンのドラコがじっとローストシードを見つめている。完全に獲物を狙う目だ。


「ダメよ、これはお客さん用だから。あなたの分は余ったらね!」

「ケチくせえな……。俺の腹こそ、この店の品質管理担当だってのに。」

「それとこれとは別! ほら、向こうで大人しくしてなさい!」


 ドラコは不満げにしっぽをバタンと叩きながらもカウンターから降りていったが、視線だけはローストシードから一瞬も離れていない。絶対狙ってるわね……。


 そんなとき、店の扉がバサッと派手に開いた。


「リリィ嬢、ごきげんよう!」


 現れたのは、黒と赤の豪華なマントを翻す奇術師、レオン・グリモワール。彼が来ると店が盛り上がるのは確実だけど、同時にトラブルが付いてくるのもお約束。


「レオン、今日も派手にやらかす気じゃないでしょうね?」

「やらかすとは失礼な! 今日は特別なトリックをお見せしに来たのだ!」


 マントを翻してウィンクを決めるレオン。そんな余裕満々の態度が一番怪しいのよ…。


「とりあえず、お酒でも飲んで落ち着いて。『エンチャンターズ・フロスト』でいい?」


 ブルーリキュールとスパークリングワインを合わせ、銀粉を散らした涼やかな一杯を用意する。見た目はまさに魔法そのもの! レオンにぴったりよね。


「さすがリリィ嬢! 君のセンスにはいつも驚かされる!」


 レオンは調子よくお酒を飲み始め、店内はいつものように即席マジックショーの雰囲気に。軽いトリックでお客さんを沸かせたあと、彼は自信満々に宣言した。


「さあ皆さん、ここからが本番! 看板ドラゴン、ドラコ殿を――消してみせましょう!」

「おい、なんで俺が標的なんだよ!?」


 ドラコが抗議しても、レオンは聞く耳を持たずに杖を掲げた。


「君ほど目立つ存在が消えたら、観客の驚きもひとしおだ!」


 私も慌てて止めに入るけど、レオンはノリノリで呪文を唱え始めた。


「いざ! 消え去れ、ドラゴンよ!」


 杖からキラキラした光が放たれ、店内はまばゆい光に包まれた。お客さんたちも「おおー!」と歓声を上げる。


 だが、光が収まると――消えたのはドラコではなく、カウンターに置いてあった「魔法カボチャのローストシード」。


「余ったら俺にくれるって言ってたつまみ、どこに行った!?」


 ドラコがしっぽを叩いて抗議し、レオンも「おかしいな、ドラコを消すはずだったのに…」と首をかしげる。


「もしかして、マジックでローストシードがどこかに飛ばされたの?」


 私は急いで周囲を探すけど、どこにも見当たらない。仕方なく、もう一度作り直すことにした。


「ほら、できたわよ。これだけたくさん作ったら、きっと余って食べられるでしょ?」


「おお、助かるぜ!」


 ドラコは喜んで近付いてくる。だけど…なんだか口周りにローストシードの欠片がたっぷりついてるんだけど!?


「ドラコ、ちょっと待って。まさかあなた、さっき光に包まれた隙に食べたんじゃない?」

「えっ…! そ、そんなわけねえだろ! …たぶん。」

「たぶんって何よ! 絶対あなたが食べたんでしょ!」

「いや、ほら、"消えた" んだろ? 俺の腹の中に"転移" しただけかもしれねえ!」

「何その都合のいい理論!!」


 店内がざわめき始めたその時――バサァァァアアア!!!!


「おっと、すまない! ちょっとマントを直そうとしただけなんだが!」


 レオンが大きくマントを翻し、ガシャーン!!!!!


 棚に飾ってあったスパイスの瓶が雪崩のように落ち、店内に大量のスパイスが飛び散る!!


「ぎゃああああ!? 目が! 目がぁ!!!」

「な、なんかスパイスの匂いが強烈に…!」

「うっ…くしゃみが…は、はっくしょん!!!」


 カウンターの上にいたドラコがスパイスまみれになり、見たこともないような変な表情でくしゃみを連発!!


「ぐあっ!? なんだこれ…!? 口の中がやたらスパイシー…!!!」


 しかし、床に落ちたローストシードを拾って食べた常連客が目を輝かせた。


「…おい、これ、意外といけるぞ?」


「おお、スパイスが複雑に絡み合って、新しい味わいになってる!」

「なんだこれ、病みつきになる!!」


 まさかの新商品誕生!?私が呆然としていると、レオンは満面の笑みで手を広げた。


「さあ皆さん!! これが新たな奇術! "奇跡のスパイシーローストシード" でございます!!!」


「マジック関係ないじゃない!!!!!」


 こうして、「奇跡のスパイシーローストシード」は、酔いどれ亭の新名物として定着したのだった。…でも、こんなドタバタ、もう二度とごめんよ!!!!!!!

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@chocola_carlyle

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