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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第一杯 酔いどれ亭、大騒ぎ!
20/144

第20話 ハーブの魅力にご注意を!

 今日も酔いどれ亭は絶好調!


 常連たちの笑い声に囲まれて、私はせっせと新作カクテルの準備に取りかかっていた。そのとき、店の扉が開いて、イリス・ファリーフが現れた。手には、モフモフした謎の植物を抱えてるじゃないの。


「リリィさん、見てください! この植物、すごくいい香りがするんですよ!」

 イリスの目はキラキラ輝いてるけど、こっちはちょっと引き気味。この前も彼女が持ち込んだ謎ハーブで店が大騒ぎになったんだから!


「イリス、それ毒とか入ってないよね? 安全なやつだよね?」

「もちろんです! 森で採取したばかりの新種で、ほんのり甘い香りが特徴なんです。」


 信用していいのか…。でも、せっかくだし試してみるか!


 こうして生まれたのが「フォレスト・ブリーズ・エクストラ」。緑茶リキュールにレモングラスシロップ、そして謎のハーブを漬け込んだ新作カクテル。仕上げにハーブを軽く燻して香りを閉じ込めると、グラスからふわっと甘くて爽やかな香りが広がる。これ、絶対売れるやつ!


「さぁ、みんな! 新作カクテルよ! 飲んでみて!」

 常連たちは興味津々でグラスを手に取り、一口飲むと目を見開いた。


「なんだこれ! めちゃくちゃ美味い!」

「香りもいいし、なんか飲むたびに元気が湧いてくる!」


 予想以上の大好評!私は胸を張りながら、次々に注文をさばいていった。売上もグングン伸びて、今日は大成功間違いなし――と思ったのも束の間。


 問題が起きたのはその数時間後。

「リリィ、もう一杯!いや、もう三杯追加で!」

「おいおい、俺も!次は二杯分頼む!」


 店内は完全に大盛況。みんなが「フォレスト・ブリーズ・エクストラ」を注文しまくって、酒が飛ぶように売れていく。おかげで売上は過去最高! …だったんだけど、なんか様子がおかしい。


「これ、止められねえ!もっと飲みたい!」

「財布が空っぽだ? そんなもん関係ねえ!ツケで頼む!」


 えっ、ちょっと待って!? ツケって何!? みんな財布が空でも飲もうとするって、これ絶対おかしいでしょ!?


「イリス、これどういうことなのよ!」

「ええと、もしかして…このハーブ、軽い中毒性があるかもしれませんね。」

「軽い!?どこが軽いのよ!お客さんみんな止められなくなってるじゃない!」


 店内は完全にパニック状態。お客さんたちは次々にツケで注文し、常連のフォルクに至っては「俺の剣を担保にするから!」とか言い出す始末。


「剣なんて受け取れないわよ!そもそもこんなに飲まれたら、在庫が尽きるでしょ!」

 ドラコがカウンターでため息をつきながら言った。

「リリィ、お前の店、今日はマジでヤバいぞ。」

「そんなのわかってるわよ!」


 仕方なく私は、イリスと協力して中毒対策に乗り出すことに。魔法でハーブを無害化できないかと相談すると、イリスが「少し時間をください」と言い残して店の隅で植物をいじり始めた。


 その間、私はお客さんたちをなんとか宥めようと必死。

「ほら、今日はここまで!これ以上はお酒を楽しめなくなるわよ!」

「それでも飲む!いや、飲ませろ!」

「だーかーら、もう在庫ないの!」


 店内は押し問答の嵐。イリスが急いで戻ってきて、「これを使ってください!」とハーブを混ぜた解毒用カクテルを差し出した。


 解毒カクテルを振る舞うと、お客さんたちは少しずつ落ち着きを取り戻していった。

「なんだか、冷静になった…。」

「俺、なんでこんなに飲みまくったんだろう…。」


 やっと平和が戻ったけど、金庫を確認すると、そこには何も入っていない。ツケの伝票だけが山積みになっていた。


「…現金、どこいったの?」

 呆然とする私に、イリスが申し訳なさそうに微笑む。

「次はもっと安全な植物を持ってきますね。」

「もう持ってこないで!」


 ─


 冷たい夜風の中、影の一人が意味ありげに微笑んだ。

 「中毒性のあるハーブを用いて混乱を引き起こすのも、一手かもしれんな。」

 「だが、あのエルフの女は味覚が鋭い。すぐに気づかれるだろう。」

 「慎重にやるさ。我々が動いていると悟られぬようにな…。」

 闇の中で、影たちは低く笑った。

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@chocola_carlyle

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