第20話 ハーブの魅力にご注意を!
今日も酔いどれ亭は絶好調!
常連たちの笑い声に囲まれて、私はせっせと新作カクテルの準備に取りかかっていた。そのとき、店の扉が開いて、イリス・ファリーフが現れた。手には、モフモフした謎の植物を抱えてるじゃないの。
「リリィさん、見てください! この植物、すごくいい香りがするんですよ!」
イリスの目はキラキラ輝いてるけど、こっちはちょっと引き気味。この前も彼女が持ち込んだ謎ハーブで店が大騒ぎになったんだから!
「イリス、それ毒とか入ってないよね? 安全なやつだよね?」
「もちろんです! 森で採取したばかりの新種で、ほんのり甘い香りが特徴なんです。」
信用していいのか…。でも、せっかくだし試してみるか!
こうして生まれたのが「フォレスト・ブリーズ・エクストラ」。緑茶リキュールにレモングラスシロップ、そして謎のハーブを漬け込んだ新作カクテル。仕上げにハーブを軽く燻して香りを閉じ込めると、グラスからふわっと甘くて爽やかな香りが広がる。これ、絶対売れるやつ!
「さぁ、みんな! 新作カクテルよ! 飲んでみて!」
常連たちは興味津々でグラスを手に取り、一口飲むと目を見開いた。
「なんだこれ! めちゃくちゃ美味い!」
「香りもいいし、なんか飲むたびに元気が湧いてくる!」
予想以上の大好評!私は胸を張りながら、次々に注文をさばいていった。売上もグングン伸びて、今日は大成功間違いなし――と思ったのも束の間。
問題が起きたのはその数時間後。
「リリィ、もう一杯!いや、もう三杯追加で!」
「おいおい、俺も!次は二杯分頼む!」
店内は完全に大盛況。みんなが「フォレスト・ブリーズ・エクストラ」を注文しまくって、酒が飛ぶように売れていく。おかげで売上は過去最高! …だったんだけど、なんか様子がおかしい。
「これ、止められねえ!もっと飲みたい!」
「財布が空っぽだ? そんなもん関係ねえ!ツケで頼む!」
えっ、ちょっと待って!? ツケって何!? みんな財布が空でも飲もうとするって、これ絶対おかしいでしょ!?
「イリス、これどういうことなのよ!」
「ええと、もしかして…このハーブ、軽い中毒性があるかもしれませんね。」
「軽い!?どこが軽いのよ!お客さんみんな止められなくなってるじゃない!」
店内は完全にパニック状態。お客さんたちは次々にツケで注文し、常連のフォルクに至っては「俺の剣を担保にするから!」とか言い出す始末。
「剣なんて受け取れないわよ!そもそもこんなに飲まれたら、在庫が尽きるでしょ!」
ドラコがカウンターでため息をつきながら言った。
「リリィ、お前の店、今日はマジでヤバいぞ。」
「そんなのわかってるわよ!」
仕方なく私は、イリスと協力して中毒対策に乗り出すことに。魔法でハーブを無害化できないかと相談すると、イリスが「少し時間をください」と言い残して店の隅で植物をいじり始めた。
その間、私はお客さんたちをなんとか宥めようと必死。
「ほら、今日はここまで!これ以上はお酒を楽しめなくなるわよ!」
「それでも飲む!いや、飲ませろ!」
「だーかーら、もう在庫ないの!」
店内は押し問答の嵐。イリスが急いで戻ってきて、「これを使ってください!」とハーブを混ぜた解毒用カクテルを差し出した。
解毒カクテルを振る舞うと、お客さんたちは少しずつ落ち着きを取り戻していった。
「なんだか、冷静になった…。」
「俺、なんでこんなに飲みまくったんだろう…。」
やっと平和が戻ったけど、金庫を確認すると、そこには何も入っていない。ツケの伝票だけが山積みになっていた。
「…現金、どこいったの?」
呆然とする私に、イリスが申し訳なさそうに微笑む。
「次はもっと安全な植物を持ってきますね。」
「もう持ってこないで!」
─
冷たい夜風の中、影の一人が意味ありげに微笑んだ。
「中毒性のあるハーブを用いて混乱を引き起こすのも、一手かもしれんな。」
「だが、あのエルフの女は味覚が鋭い。すぐに気づかれるだろう。」
「慎重にやるさ。我々が動いていると悟られぬようにな…。」
闇の中で、影たちは低く笑った。
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