第17話 厳罰!客引きドラコ!
前回までのあらすじ。
ドラコは無事にドラゴンスレイヤーとの戦いに勝利!けれどもラム酒を使った大技で勝利した結果――店の在庫がすっからかん。
「勝ったけど負けた」状態をどうにかするべく、私は看板ドラゴン・ドラコに厳罰を科すことにした。
「ドラコ!!! 罰として、今夜は店の前で客引きしてもらうわよ!!!」
「はぁぁ!?!?」
腕を組んで睨みつける私に、ドラコは嫌そうに尻尾をバタバタさせる。
「アンタが勝手にラム酒を飲み干したせいで、大赤字なの!! 責任とって、売上を回復するために働きなさい!!!」
「いやいや、俺は看板ドラゴンだぜ!? そんな下っ端仕事、俺のキャラに合わねぇ!!」
「なら看板外すわよ?」
「いやそれは困る!!!!」
「じゃあさっさと店の前に行きなさい!!!」
ドラコは渋々、店の外へと出ていった。
「くそぉ…こうなったら、俺流の客引きを見せてやるぜ!!!」
「さぁさぁ、酔いどれ亭へようこそぉぉぉ!!!」
ドラコは店の前で大きく息を吸い込むと――
ブシュウウウウウウウウウ!!!!
大量の黄金の泡を吹いた。
シュワシュワと弾ける、光り輝く泡。
甘く芳醇な香りが辺りに広がり、通行人たちが目を丸くする。
「なんだこれ!? すごい綺麗だな!」
「ふわっと甘い香り…これ、酒か?」
「へへっ、こいつはサンセット・ブリュード!」
「まるで夕暮れの空をそのまま閉じ込めたみたいな黄金色のエールだ!」
「おおお!? そんな酒があるのか!!」
「リリィの新作メニューだ!! カラメル化した太陽樹の果実と、月夜にしか育たない幻のホップを使って発酵させた、シュワシュワの琥珀エール!!」
「美味そうだな!! ちょっと入ってみるか!!」
「ふふん、やっぱり俺のパフォーマンスは完璧――」
「ドラコ、それ店にまだ出してない酒じゃないのよ!!!?」
「ええええ!?!?!?」
店内の仕込み樽に詰めておいた試作酒の存在を、よりによって宣伝するなんて…。
「ちょっと! まだ熟成が足りないのに!!」
「いやでも、こうなったら作るしかないだろ!?」
…はぁ。仕方ない。
「分かったわよ!! ちょっと待ってなさい!!!」
急ピッチで仕上げたサンセット・ブリュードは、最高の一杯になった。
カウンターに並んだグラスは、黄金に輝き、光を反射してまるで宝石のよう。一口飲めば、カラメルのような甘みと、ほんのり香ばしいホップの苦味が広がる。最後にふわりと太陽樹のフルーティーな余韻が残る、まさに極上のエール。
「う、うまい…! これ、マジで最高だぞ!!!」
「こんな酒、初めて飲んだ!!」
客たちが目を輝かせて飲む中、私はジロリとドラコを睨む。
「…結果オーライだけど、勝手に宣伝するのはやめなさい!!!」
「へへっ、でも売上アップにはなっただろ?」
「アンタが最初にラム酒飲み干さなきゃこんなことにならなかったのよ!!!!」
こうして今夜も、酔いどれ亭はドラコのドタバタ集客作戦で大盛況となった。
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