第14話 カーバンクルと神秘の一杯!
夜の酔いどれ小屋に、突如として神々しい輝きが差し込んだ。
――バァァァン!!!!
扉が吹き飛びそうな勢いで開き、息を切らしながら駆け込んできたのは、ゴーグルが似合う錬金術師、アストリア。
「リリィ!! 見て見て見て!! すごいもの持ってきたわよ!!!」
黒と赤のローブを翻し、興奮で頬を上気させながらカウンターへ突撃してくる。
私はグラスを拭く手を止め、直感で悟った。
またロクでもないものを持ってきたな。
「…今度は何よ?」
「フフフ…ついに見つけたの!!」
「カーバンクルの宝石よ!!」
ドンッ!!
カウンターに置かれたのは、まるで星のように赤く輝く宝石。 それはただの装飾品ではなく、魔力を帯びた伝説の希少石。
「……ちょっと待て。」
フォルクが眉をひそめる。
「それ、本物か?」
「もちろんよ!!」
アストリアは宝石を指先で弾き、ニヤリと笑う。
「このカーバンクルの宝石にマナを当てるとね――その光が魔力を帯びて増幅するのよ!!」
「増幅?」
「そう!! つまり、この光を酒に当てることで、ただの酒が神秘の一杯に変わるってわけ!!」
「……なんかすごそうね?」
私は興味をそそられ、カーバンクルの宝石を手に取る。ほんのりと温かく、まるで命を宿しているかのように鼓動している気さえする。
「……試してみる価値はあるわね。」
実験開始!!!
私はすぐさま、カウンターの奥へと向かい、特別なワインを用意した。
《ルビー・オーロラ》
~カーバンクルの光を宿す神秘の一杯~
《星雫の秘蜜酒》をベースに使用
夜空に浮かぶ星々の光を浴びながら熟成された、甘く深みのあるワイン。
一口飲むと、ふんわりとした蜂蜜の甘さが広がり、後から芳醇な果実の香りが追いかけてくる。
《エルフのルビーリキュール》をブレンド
神秘の森で採れる特別な赤い果実から作られたリキュール。
これを加えることで、味わいに柔らかな酸味とコクをプラスする。
最後の仕上げ。
私はカーバンクルの宝石をカウンターに置き、そっと手をかざしてマナを込めた。
すると、宝石がふわりと輝き、そこから放たれた光がワインの表面に降り注ぐ。
キラキラ……
赤いワインがまるで星のように瞬き、グラスの中で淡く光を放ち始める。
「すっげぇ……」
フォルクが思わず息をのむ。
「これ、完全に魔法の酒じゃねぇか。」
ドラコが尻尾を揺らしながらグラスを覗き込む。
アストリアは満足げに腕を組む。
「でしょ!? これこそが、カーバンクルの宝石を使った奇跡の一杯!!!」
私はワイングラスを持ち、店の灯りの下でそっと傾けた。 煌めく液体がグラスの内側を滑るたびに、光が虹色に反射する。
「……試飲、いってみる?」
「もちろん!!!」
フォルクが一番に手を伸ばし、ワインを口に含む。
「……うおぉぉぉぉ……!!!」
「な、何!? どうなったの!?」
「……ヤバい、これ。」
フォルクはうっとりした表情でグラスを見つめる。
「ただの酒じゃねぇ…これは、まるで夜空を飲んでるみたいだ。」
「えっ、どういうこと?」
「口に含んだ瞬間、ふわっと広がる甘さと深み……でも、その後、舌の上で光が跳ねるような感覚があるんだ。」
「な、何それ!! 俺も飲む!!」
ドラコもグラスを持ち上げ、一口飲む。
「……ッ!!!」
目を見開き、一瞬固まる。
「お、おいドラコ!? 大丈夫か!?」
「…………」
ドラコはグラスをそっと置き、神妙な顔で呟いた。
「……俺、今なら賢者になれる気がする。」
「そんな効果あるの!?!?!」
店内が大爆笑に包まれる。
《ルビー・オーロラ》は、こうして酔いどれ小屋の新たな名物酒となった。
カーバンクルの光が宿るこのワインは、神秘の味わいを求める者たちの間で瞬く間に評判となる。
――そして翌日。
「リリィ!! 大変だ!! 今度はフェニックスの羽根を酒に漬け込むとか言ってる奴が来てるぞ!!!」
「もうやめてぇぇぇぇ!!!!」
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