第13話 酔いどれ店主と甘い罠!
ついに完成したわ! 私の自信作、「デザートワイン・サンシャインスウィート」!
黄金色に輝く液体からは、熟した果実の甘やかな香りが立ち上る。ひと口含めば、とろけるような蜂蜜の甘さが広がり、そこに柑橘の爽やかな酸味が軽やかなアクセントを添える。滑らかでコクのある口当たり、それでいてしつこくない余韻。甘美な誘惑が喉の奥を満たし、思わずもう一口、もう一口と飲みたくなる――まさに至高のデザートワイン!
「リリィ、そんなに飲むなよ。試作段階だろ?」
フォルクが呆れ顔で忠告してくるけど、そんなの聞こえないふり。だって、美味しいんだもん!
「ふふふ、これは次の看板商品になるわね! ほら、ドラコも飲んでみる?」
得意げにグラスを差し出すけど、看板ドラゴンは鼻をひくひくさせてから、ため息混じりに首を振る。
「いや、俺は酒よりつまみ派だ。それに、お前は酔いどれ小屋の店主なんだから、ちゃんと接客しろよな。」
うるさいわね! せっかく作った新作なんだから、楽しまなきゃ損じゃない! そう思いながら、ついついもう一杯、もう一杯……
気づけば――
「いらっしゃいませぇぇぇ~~! 本日は特製デザートワインをご用意しておりまぁぁぁす!」
完全にグデングデンだった。カウンターに寄りかかりながら、妙に陽気なテンションで声を張る私。視界がほんのりゆらゆら揺れて、いい気分~。
「おいリリィ、それ以上飲むな!」
フォルクが真顔で止めに来るけど、時すでに遅し。手元が怪しくなっていたグラスがカウンターから転げ落ち――
ガシャーン!!!
甘美な香りが店内いっぱいに広がる。
「ちょっと待て、このままだと――」
「よし、ここは俺がやる!」
ドラコが勢いよく前に出てきた。
「ドラコ、アンタが店長代理? 本当に大丈夫?」
半信半疑で問いかける私に、ドラコは胸を張って「任せろ!」と意気込む。
「まずはこのデザートワインを運んでみせるぜ!」
そう言ってグラスを持とうとするけど…前足じゃ無理。全然安定しない。
「あれ? なんだこれ、意外と難しいぞ……」
プルプルと揺れるグラス、ふらふらとバランスを取ろうとするドラコ。
ガシャーン!!!
またもやワインが床にぶちまけられ、さらに甘い香りが漂う。
「おいドラコ、お前には無理だ。引っ込んでろ。」
フォルクがため息をつきながら前に出て、スッとグラスを持ち上げた。
「仕方ねぇな。俺が代わりにやる。おい、お前たち! 今のおすすめはこのデザートワインだ! 一杯飲んでみろ!」
フォルクの力強い呼びかけに、最初は怪訝そうだった客たちも興味を持ち始めた。
「このワイン、甘い香りがすごいな!」
「どれどれ、飲んでみるか!」
客たちがグラスを手に取り、ゆっくりと口に含む。
「おおおおおっ!?」
目を見開く客たち。舌の上で濃厚な果実の甘みがじんわりと広がり、追いかけるように蜂蜜のとろけるコク、最後に爽やかな柑橘の余韻がすっと抜けていく。
「こ、これは……」
「まるで、太陽の恵み!」
「うまい!! もう一杯!!」
ワインの香りと共に、店内の熱気が一気に高まる。
フォルクは満足げに腕を組み、私を一瞥した。
「ほらな、リリィ。こうやって冷静にやらなきゃ商売にならねぇだろ。」
客たちが笑い声を上げる中、ドラコが小声でボソッと呟いた。
「俺の接客も悪くなかったと思うけどな……」
そんなドタバタ劇の中、デザートワインは新たな看板商品として、見事に爆売れしたのだった。
ページを下にスクロールしていただくと、広告の下に【★★★★★】の評価ボタンがあります。もし「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、評価をいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
@chocola_carlyle




