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酔いどれエルフと酒の歌  作者: チョコレ
第三杯 酔いどれ亭、再建中!
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第6話 シェイク・クエイク!

 ゴゴゴ……!

 カウンターに酒を並べていたその瞬間、店がぐらりと揺れた。


「うわっ!? なんだ!?」


 フォルクがジョッキを取り落としそうになり、ドラコが棚にしがみつく。ジーナは「なに?」と言いたげにため息をついた。


 ゴゴゴゴゴゴ……!!!


 床が微妙に波打つように振動し、カウンターの酒瓶がカタカタと揺れる。吊るしたグラスがカチカチと触れ合い、不穏な音を響かせる。


「ちょっと、また揺れてるんだけど!? 地震!?」


 私はバランスを取ろうとするが、手元が狂ってグラスを倒してしまう。


「違うな、これは魔法だ。」


 フォルクが険しい顔でジョッキを掴む。


「多分……土属性の崩地震(アースシェイカー)かしら?」


 ジーナが腕を組みながら呟く。


「おいおい、そんなの普通戦場でしか使わねぇだろ!」


 完全に魔法の仕業。


「まさか……昨日のルシルの警告ってこれのこと!?」


 魔術ギルドが「妨害してくる」と言っていたけど、まさか店全体を揺らすなんて!

 くっそー!やってくれるじゃない!!

 しかし、ここで引き下がる私じゃない。


「逆手に取るしかないわね!」


「……逆手?」

 ジーナが疑わしげに片眉を上げる。


「そうよ!せっかく揺れてるんだから…“地震酒場”として名物にするのよ!!」


「おいおい、冗談だろ……?」

 フォルクが呆れ顔になるが、私は大真面目。


「ちょっとした振動で風味が変わるお酒もあるのよ?だったら、この揺れを利用すれば、新しい楽しみ方ができるわ!」


 フォルクとドラコが顔を見合わせる。


「……マジか」

「マジだ」


 私は素早く酒棚から材料を引っ張り出した。


『震える一杯、シェイク・クエイク』爆誕!!


 ベースは香り高いダークラム。スモーキーな甘みとコクが特徴のこのお酒に、ライムジュースを加えて酸味でキレを出す。


 さらに、特製のスパイスシロップを加える。これにはジンジャーとシナモンを煮詰めた、ピリッとした刺激がある。


「最後にこれ!」


 私はカウンターの下から小さな魔力氷を取り出し、グラスに入れた。普通の氷と違い、魔法の力でゆっくりと溶けていく。時間とともに酒の味が変わるのが特徴だ。


「揺れるほどに味が馴染む、新感覚カクテルの完成よ!!!」


 私はグラスを高々と掲げた。


 ゴゴゴゴゴ!!!


 絶妙なタイミングで店が揺れる!すると、グラスの中でラムとスパイスがゆらゆらと混ざり合い、香りがふわっと広がる。


「さぁ、誰が最初に試す?」


 ドラコがニヤリと笑い、「俺が行く!」と飛びついた。


 一口――


「……おおっ!? なんだこれ、揺れるたびに風味が変わる! ラムの甘みが強くなったり、スパイスが際立ったり……!しかも、このジンジャーのピリッとした刺激がクセになる!」


 フォルクも興味津々で一口飲む。


「…確かに、揺れでちょうどいい感じに混ざるな。普通にシェイクするよりナチュラルに味が馴染むっていうか…くぅ、うまい!」


 大成功!!


 周囲の客たちも興味を持ち始める。


「おい、俺もそれ飲んでみたい!」

「こんな揺れが楽しくなる酒なんて聞いたことねぇ!」


 私はカウンターに立ち、笑顔で叫ぶ。


「酔いどれ小屋名物!震えれば震えるほど美味しくなる『シェイク・クエイク』、お試しあれ!!」


 客たちが次々に注文を入れ、店内は一気に活気づいた!


 すると――


 ゴゴゴゴゴゴゴ!!!


 再び大きく揺れる店。しかし、その中で客たちの歓声が響く。


「うおっ、これは飲み頃だ!」

「ちょうど今いい感じにシェイクされたぞ!!」


 店の外、魔術ギルドの妨害担当と思しき魔術師が呆然と立ち尽くしていた。


「…な、なんでこんなに盛り上がってるんだ…!?」


 私はニヤリと笑いながら、グラスを掲げた。


「魔術ギルドさん、揺らしてくれてありがとう!!おかげで新名物ができたわ!!」


「くっ…次は魔法の深淵を見せてやろう!」


 妨害担当は悔しそうに消えていった。

 この様子だと、きっとこれから妨害が続くんだろう。


 でも――


「……負ける気がしないわね。」


 私は『シェイク・クエイク』をくいっと飲み干し、ニヤリと笑った。


 ──


「…魔術ギルドが動き出したか。」

 闇の中、低く囁かれる声。


「ふ…酒ギルド以上の結果を出してくれることを期待しようではないか。」


 静かな笑いが闇に溶け、影たちは音もなく姿を消した。

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@chocola_carlyle

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