3/3
完璧な少年
少年はとても豊かだった。
父は医者、母はそれなりに名の知れた元モデルであった。
少年が幼い間だけであったが、家政婦までいた。
上等な服を着せられ、その歳にしては違和感を
覚えるほど姿勢良く歩いた。
栄養バランスがよく考えられた食事。
広いリビングの壁に取り付けられた、
少年よりも大きいとすら思えるテレビを見ながら食べた。
よく学び、外では誰よりも賢いと皆から称された。
その度に少年はそんなことないと否定した。
謙虚な少年だと、また称された。
少年が否定するのには理由があった。彼には歳の離れた兄がいた。少年以上によく学ぶ兄は、ほとんど少年にかまうことはなかった。
少年は兄に憧れていた。
続きます